新着記事
アーカイブ
技術コラム

撹拌効率を劇的に向上させる!バッフル(邪魔板)の効果と導入メリット

2025/08/08 08:00
撹拌効率を劇的に向上させる!ヘルールバッフル(邪魔板)の効果と導入メリット

工場での撹拌作業で効率アップを目指すなら必見!
バッフル板の設置で均一な混合が実現できる理由と具体的な効果を解説します。

バッフル板(邪魔板)の基礎知識

バッフル板(邪魔板)とは何か?

バッフル(邪魔板)とは、撹拌槽内で液体の旋回流を抑制し、上下の循環流を促進するために設置される板状または棒状の部品です。
名前に「邪魔」とついていますが、実はとても重要な役割を果たしています。

ヘルールバッフルの外観

ヘルールバッフルの外観(MONOVATE社製品)

ヘルールバッフル設置イメージイラスト

設置イメージ

撹拌工程でバッフル板が必要とされる理由

撹拌工程では、液体がタンク内を単に旋回するだけの「供回り」が発生し、上下方向の流れが不足することで、混合ムラや泡立ちといった課題が生じやすくなります。
これらの課題を解決する手段として、バッフル板の導入が効果的です。

特に以下のような場面では、バッフル板の効果が大きく発揮されます。

  • 複数の原料を均一に混合したい場合(混合ムラの防止)
  • 化学反応の効率を高めたい場合(反応ムラの回避)
  • 低粘度液で撹拌効率が上がらない場合(供回りの抑制)
  • 混合時間を短縮して生産効率を上げたい場合
  • 撹拌による泡立ちや空気巻き込みを防ぎたい場合

動画で見る!バッフル板の効果比較

「違いが一目でわかる!ヘルールバッフルの効果とは?」

バッフルによる液流の変化

バッフル板がない場合、液体は単に回転するだけの渦巻き状の動きとなります。

動画で示されているように、バッフル板の有無で液体の流れが以下のように変わります。

×

バッフル無しの場合

  • 液体は横方向にのみ流れる「旋回流」となる
  • 上下方向の流れが少なく、効率的な混合が行われない
  • タンク内の液体全体が均一に混ざり合わない
  • 旋回流により渦が発生し、空気の巻き込み・泡立ちが生じる
旋回流

バッフルありの場合

  • 液体の流れがバッフル板にぶつかることで乱流が生じる
  • 上下方向の循環流が促進される
  • 結果として液体全体が均一に混合され、混合効率が大幅に向上する
  • 渦の発生が抑制され、空気の巻き込み・泡立ちを軽減する
↑↓
乱流・循環流
バッフル板の効果イメージ

バッフル板による流体の動きの変化

MONOVATE製「ヘルールバッフル」のご紹介

ヘルール接続方式のバッフル板の特徴と構造

MONOVATEのヘルールバッフルは、撹拌効率を向上させるためのステンレス製邪魔板(バッフル)です。従来のバッフル板と異なり、ヘルール接続方式を採用しており、溶接不要で簡単に取り付け・取り外しが可能な設計となっています。

製品仕様

  • 材質:SUS304ステンレス製(オプションでSUS316Lも可能)
  • 表面処理:バフ研磨仕上げ
  • 取付方法:ヘルール接続方式(クランプバンド、ガスケットは別売)
  • ヘルールサイズ:1.5S/2S/3Sから選択可能
  • バッフル板長さ:300~1000mm(撹拌タンクの深さにより異なる)
  • バッフル板幅:30/40/50(ヘルールサイズ、撹拌タンク径により異なる)
  • 設計:全周溶接によりサニタリー性を確保

ご要望がございましたら、標準仕様以外のカスタマイズにも柔軟に対応いたします。カスタマイズオプションの一例はこちら。お気軽にご相談ください。

一般的なバッフル板との違いとメリット

一般的なバッフル板は、容器内部に固定して設置するタイプが多く、設置や取り外し、洗浄が容易ではありません。一方、ヘルールバッフルは以下のメリットがあります:

  • ヘルール接続のため、工具不要で簡単に取り付け・取り外し可能
  • 現在使用中の装置やタンクの蓋にヘルール配管があればすぐに設置できる(後付け可能)
  • 洗浄しやすく衛生的なサニタリー仕様
  • オールステンレス製で耐食性に優れる

バッフルのサイズ・材質の選定ポイント

バッフルを選定する際は、サイズと材質の両方を用途に応じて最適化することが重要です。

サイズ(板幅)は撹拌槽の直径の約10%が目安で、枚数は4枚を等間隔に配置するのが一般的です。
ただし、実際には撹拌槽の蓋の面積やノズル配置の制約により変動します。

また、使用環境に応じて適切な材質を選ぶ必要があります。

  • SUS304: 一般的な用途向けで、コストパフォーマンスに優れる
  • SUS316L: 耐食性が高く、塩素や酸を含む環境に適する
  • 食品・医薬品用途では、表面処理(電解研磨など)も併せて検討

カスタマイズオプションと拡張性

幅広い用途に対応するカスタマイズ例

標準品以外にも、様々なカスタマイズが可能です:

  • 長さ・幅・形状を変更する
  • 表面処理を変更する
    • 電解研磨:表面の平滑化による洗浄性向上、微生物付着防止
    • フッ素樹脂コーティング:付着防止、化学的耐性向上
    • バフ研磨:標準の表面処理
  • マーキングを追加する
    • 液量の目安表示
    • 製品ロット管理のための識別マーク
    • 位置決めのための目印
    • 検尺棒としての機能追加
カスタマイズオプション例

カスタマイズオプションの例

まとめ・お問い合わせ

ヘルールバッフル導入による効果のまとめ

ヘルールバッフルの導入により、以下のような効果が期待できます:

  • 撹拌効率の大幅向上による混合時間の短縮
  • 製品品質の安定化と均一性の確保
  • 工具不要で簡単に取り付け・取り外しができる利便性
  • 全周溶接のサニタリー仕様による衛生的な生産環境の維持

撹拌効率の向上についてお悩みですか?

撹拌槽・撹拌機・周辺機器などあらゆる観点から撹拌効率の改善をご提案いたします。

撹拌効率について相談する

あわせて読みたい記事

【実験】混ぜる位置で液流はどのように変わる?ベルヌーイ流撹拌機で検証
撹拌機を買いたい!と思ったら読む「撹拌機の購入を失敗しないコツ」
溶解時間を短縮する方法とは?
ダマになりやすい粉体(乾燥卵白)と液体の撹拌実験
【実験】同じに見えても中身が違う?撹拌の「均一性」を検証
泡立ちを抑える「投入方法」とは?