化粧品製造メーカーさまにて化粧品原料(シリコンエマルジョン)を入れたステンレスタンクに穴が開いたとの連絡が入りました。
ステンレスタンクに穴が開いた原因として、シリコンエマルジョンに含まれている液体の成分にステンレスを腐食させる材料が含まれていると考えられます。
この化粧品原料(シリコンエマルジョン)が、当社の使用しているステンレスや、表面処理を施したステンレスを腐食させるのか確認をおこないました。
試験概要
今回の腐食試験の概要です。
目的
化粧品原料となるシリコンエマルジョンにより材質、表面処理の違うステンレスタンクの腐食の確認試験をおこない、ユーザーさまに向けてのデータとして収集します。
内容物
品名:DN-シリコンエマルジョン-10万
化粧品用、繊維加工用、剥離紙用、消泡用、食品添加物など幅広い分野で使われている原料です。
テスト条件
- ・室温にて1ヶ月間、化粧品原料(シリコンエマルジョン)を3種類のステンレスタンクにて保管する。
- ・化粧品原料(シリコンエマルジョン)液を底から約30mmの深さまで入れる。
ステンレスタンクの種類
試験には、以下の3種類のステンレスタンクを使用しました。
- ①SUS304 バフ研磨
- ②SUS304 バフ研磨後、電解研磨
- ③SUS316L バフ研磨
結果
腐食試験の結果をステンレスタンクの種類ごとにご紹介します。
①SUS304 バフ研磨
NG 腐食により穴が開きました
腐食穴や、漏洩した液による錆がみられます。
②SUS304 バフ研磨後、電解研磨
OK 腐食が見られません
③SUS316L バフ研磨
OK 腐食が見られません
所見
腐食したSUS304に対して内面に電解研磨処理をすることで耐食性の向上を図ることや、より耐食性の高い素材であるSUS316Lを使用することが、化粧品原料(シリコンエマルジョン)に対して有効であることがわかります。
ただし、シリコンエマルジョンにステンレスを腐食させる材料が含まれていることから、問題の無い②や③のタンクに対しても長期間使用すると腐食する可能性はないとはいえません。
このため、タンクに入れる内容物によっては適切な素材選びと表面処理が必要となります。
MONOVATEでは、これらにお答えできる経験と実績により最適な選択をご提案いたしますので、気軽にご相談ください。いままでの化粧品業界採用事例もあわせてご覧ください。