
MONOVATEは、1957年の創業以来、60年を超える歴史の中でステンレスタンク・装置の製造を手がけてきました。医薬品、食品、化粧品、化学、半導体など、幅広い産業分野のお客様に製品をご採用いただいています。
本記事では、医薬品製造における品質管理基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)への対応と、それに伴うバリデーションについて、当社の取り組みをご紹介いたします。
そもそもGMPとは?

GMP(Good Manufacturing Practice)は、医薬品の製造における製造管理および品質管理の基準です。
医薬品は人命に直結しているため、常に高い品質を満たしたものを市場に提供することが求められます。この品質を保証するため、適切に管理された環境で、決められた手順を厳守して医薬品を製造する必要があります。
この考え方の根底には、「完成品の品質検査だけでは、医薬品の品質を保証できない」という原則があります。
医薬品メーカーは、安全で高品質な製品を安定的に生産するため、さまざまなルールを設定し、運用しています。
GMPに不可欠なのがGMP三原則で、時代が変わっても重視される基本となる考え方です。
- 人為的な誤りを最小限にすること
製造過程におけるヒューマンエラーを可能な限り減らすこと。
手順の文書化や作業教育、作業記録など。 -
医薬品の汚染及び品質低下を防止すること
製品の品質を維持し、汚染を防ぐための原則。
製造環境の衛生管理や交差汚染の防止、適切な保管・輸送条件の確保など。 -
高い品質を保証するシステムを設計すること
製品の一貫した高品質を保証するためのシステム構築を目指す原則。
品質管理部門の独立性確保やバリデーション実施、継続的な品質改善活動など。
これらの原則に対し、ハード(=設備)とソフト(=プロセスやシステムといった非物理的な要素)という2つの側面からアプローチします。
MONOVATEのGMP対応への取り組み
当社は、医薬品業界に適したGMP対応のステンレス容器を多数提供してきました。
詳細はお客様のご要望に応じて個別に承っておりますが、MONOVATEは主に下記のようなGMP対応をしております。
- 洗浄性を考慮した設備設計(汚れを付きにくくする / CIP、SIPへの対応)
- バリデーション書類の提供
それぞれ詳しくご紹介します。
洗浄性を考慮した設備設計
- 汚れを付きにくくする
ステンレス製の容器は、樹脂製容器に比べて表面が滑らかであるため、汚れや微生物の付着を抑えやすい特性があります。
特に電解研磨(EP)を施したステンレス容器は、表面の平滑性が高まり、洗浄時間の短縮と洗浄確認の簡素化に寄与します。
これにより、製品の汚染リスクを低減し、GMPの要件である製品の汚染・品質低下の防止に貢献します。
医薬品メーカー様にご利用いただく当社容器の多くは、ステンレスの中でも高い耐食性を持つSUS316L材に電解研磨を施した製品をご採用いただいています。
また、容器の製作工程の中で研磨剤の汚れをできるだけ残さないよう品質を作りこんでいます。研磨剤がステンレスの表面に残存すると、蒸気滅菌した際に腐食(ルージュ)の原因になると言われているためです。
一般的には容器の全面を研磨しますが、MONOVATEでは研磨を最小限に抑え、お客様の洗浄コストを最小限に抑えています。


電解研磨・バフ研磨について詳しく知りたい方におすすめのコラム
電解研磨:
製薬業界の実績多数
最高グレードの電解研磨とは
バフ研磨:
バフ研磨はしないほうがいい?ステンレス容器メーカーのこだわりとは
また容器の縁巻き(カール)や取っ手の接続部など容器の細かい隙間を可能な限り少なくする、接液部の凹凸を少なくするご提案をしています。 これらの設計上の工夫により、洗浄時のデッドスペースを最小限に抑え、さらにCIPやSIP での効果的な洗浄・滅菌を可能にしています。結果として、より清潔で衛生的な状態を維持できる製造設備のご提供を実現しています。

- CIP、SIPへの対応
CIP(定置洗浄):製造装置を分解せずに内部を自動で洗浄できるシステムで、装置内部の残留物や汚れを除去。
SIP(定置殺菌):CIPで洗浄後の装置内部を加熱蒸気などで滅菌するプロセスで、微生物や病原菌を完全に除去。
CIPとSIPは、手洗浄に比べ自動制御で所定の洗浄性能を満たすことが可能になるため、GMP対応の設備としては一般的なソリューションです。
MONOVATEのCIP、SIPに関するご提案の一例をご紹介します。
- CIP用のスプレーノズルをタンクの蓋に組み込む(別の場所から洗浄液等を供給するとタンク内部を洗浄できる仕様)
- SIPなどの蒸気滅菌ができるように、ステンレス以外の付属品も高温に耐えられる選定をする(パッキン・キャスターなど)
パッキン、キャスターなどの付属品は材質により耐熱温度が異なるため蒸気滅菌する装置の場合は注意が必要です。
なお、当社のステンレス容器は基本的に耐熱温度を約300℃としています。ステンレスの耐熱温度について詳しくはこちらのコラムをご覧ください。技術コラム:ステンレス容器の耐熱温度と加熱に関するあれこれ - 撹拌機(ミキサー)を、SIP用の蒸気滅菌ポートを設けた仕様にする
(当社のベルヌーイ流撹拌機に蒸気滅菌のポートを設けた事例などがございます)


▲ スプレーノズル イメージ
バリデーション書類の提供
MONOVATEは製品の品質を証明するための各種証明書や検査書の提出が可能です。これにより、製造プロセスの妥当性確認(バリデーション)をサポートし、GMPの要件である高い品質を保証するシステムの設計に対応しています。
バリデーション書類の対応例
- 鋼材検査証明書(ミルシート)
- 材料証明書
- 電解研磨証明書
- 検査成績書
また、IQ(据付時適格性確認)やOQ(稼働性能適格性確認)への立ち合いも可能です。
- 洗浄性を考慮した設備設計(汚れを付きにくくする / CIP、SIPへの対応)
- バリデーション書類の提供
これらの取り組みにより、MONOVATE株式会社のステンレス容器は、医薬品業界のGMP基準に適合し、製品の安全性と品質の確保に貢献しています。
MONOVATEは、お客様のご要望に応じたカスタマイズ製品の提案を得意としております。
具体的には、標準品をベースとした機能追加や、完全なオーダーメイドでの設計まで、幅広い対応が可能です。
このような柔軟な提案力は、GMP対応においても大きな強みとなっています。
医薬品業界への導入実績
医薬品製造工程で使用されるタンクには、一般的にSUS316Lの材質と電解研磨による表面処理が求められます。
MONOVATEでは、この高度な品質要件に応える多数の納入実績がございます。主な事例をご紹介いたします。
なお医薬品工場内でも、工程の特性によって必要とされる衛生仕様は異なります。MONOVATEではそうした工程特性を考慮し、必要十分な仕様のご提案も可能です。
例えば、比較的衛生要件の緩やかな工程向けには、SUS304材とバフ研磨仕上げの組み合わせなど、コストパフォーマンスに優れた選択肢もご用意しております。
その他 医薬品業界での採用実績を見る
お客様の製造工程に最適な仕様について、ぜひご相談ください。
GMP対応装置に関するお問い合わせはこちら
医薬品製造設備に求められるGMP対応は、製造工程や製品特性によって千差万別です。MONOVATEは、豊富な納入実績とカスタマイズ対応力を活かし、お客様の品質要件に最適な製造設備をご提案します。製造設備に関するお悩みやご要望がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。製薬業界における品質向上と生産性向上の実現に、これからも貢献してまいります。