ジャケット(外槽)付きのステンレスタンクを使用し、ジャケット内部に温水やスチーム等を流すとタンク表面も高温になります。
タンクに断熱の対策を取らないと、タンク表面からの放熱によって作業環境温度が上昇してしまったり、室温が低い場合は、なかなかタンクの温度が上がらなかったりします。
また、誤って高温のタンクに触れてしまうと火傷の恐れがあります。
今回はジャケットタンクの断熱方法についてご紹介します。
断熱の目的
ジャケットタンクの断熱の目的は、使用環境や温度によって異なりますが、主に以下のようなことが挙げられます。
- 高温のタンクに触れることによる火傷等の事故を防ぎたい
- 省エネ、昇温時間の短縮など、効率よく温調したい
- タンクからの放熱による室温の上昇を抑制したい
断熱方法
弊社で製作しているステンレス製のジャケットタンクで採用している断熱方法は大きく3つに分けられます。
1.ジャケット部に直接触れないように外装を付ける
ジャケットの外側に筒状の外装を取り付けて断熱します。
ジャケットと外装の間には隙間があり、外装への熱伝導を少なくしています。
外装はタンクの材質と同じステンレス(SUS304)です。
長所
- 直接ジャケット部に触れないので火傷防止になる。
短所
- 放熱を防いでいないので、温調効率アップや室温上昇などの対策とはならない。
|(特注事例)撹拌機座付ジャケット容器
2.ジャケット部に断熱材(保温材)を入れる
ジャケット内に断熱材を入れて断熱します。
水などを流すジャケットの更に外側に断熱材を入れたジャケットを作ります(2重ジャケット)。
弊社の断熱材は主にグラスウールを使用していますが、他にはパーライトや発泡ウレタンなどがあります。
長所
- タンク内に断熱材が収納されているので、使用時や洗浄時に干渉せず取り扱いしやすい。
- タンクの外側まで熱が伝わりにくいため、火傷防止、温調効率のアップ、室温の変化を抑えることができる。
短所
- タンク製作時に断熱材を入れるため、既存タンクへの対応ができない。
- 断熱材と断熱材を入れるジャケットで容器が重くなる。
グラスウールとは
人工的に作られたガラス繊維でできており、綿状で加工しやすく、コストパフォーマンスの良い断熱材です。住宅の断熱材としても広く使用され、吸音材としても使われています。
|鏡板型耐圧ジャケット容器 断熱槽・脚付【DT-TJJ-L】
3.断熱カバーを取り付ける
タンクの外側に断熱材の入ったカバーを取り付けて断熱します。
カバー内にはグラスウール・ニードルマット等の断熱材が入っています。(メーカーにより異なります。)
クリーンルームでも使用できる低発塵性の断熱カバーもあります。
長所
- 既存のタンクにオーダーメイドで専用カバーを製作でき、繰り返し使用できる。
- カバーの外側まで熱が伝わりにくいため、火傷防止、温調効率のアップ、室温の変化を抑えることができる。
- カバーが取り外しできるので、容器に断熱材を入れる場合に比べて軽い。
短所
- タンク洗浄時にカバーを取り外す必要がある。
- 使用環境によってはカバーの材質を変える必要がある。
|断熱カバー【ECK】
その他の断熱方法:真空ジャケット容器
弊社では製作しておりませんが、ジャケット内を真空にすることで、熱が外へ逃げないようにして保温効果を高める方法もあります。(例:魔法瓶)また、断熱材を入れて真空にする場合もあります。
結露対策
ジャケットに冷水を流して保冷する場合など、室温との温度差によってはタンク表面に結露が生じてしまいます。結露はカビやサビの原因だけでなく、異物(不純物)混入の原因にもなります。
保温の場合と同様にタンクに断熱材を入れたり断熱カバーを使用することで、タンク表面と室温との温度差を低くでき、結露防止になります。
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