いわゆる「職業病」の6割を占める腰痛。
安全な労働環境実現のため、腰痛への予防対策はかかせません。
当社で取り扱っているステンレスタンクや周辺機器の多くはギリギリ人力で扱えるようなサイズ・重量です。
「腰がつらいけどちょっと無理をすればなんとかなる」ような作業を積み重ねることで身体に大きな負担がかかるリスクもあります。
とはいえ、どのような設計をすれば負担を軽減できるのか想像が難しいかもしれません。
そこでこのコラムでは、メーカーである当社が日々の作業で腰への負担を軽減する製品や、実際にお客様にご採用いただいたカスタムの事例をご紹介します。
作業別に腰痛対策をご紹介します
投入作業を楽にする
原料を投入するために、投入口まで原料を高く持ち上げたり、投入するあいだ保持したりしますが、姿勢や原料の重さにより腰に負担がかかります。
無理な姿勢での投入作業をなくすことで、原料をこぼすロスの削減にもつながります。
原料タンクを傾ける動きを楽にする
原料を入れておくタンクに「ツル」と「持ち手」をつけることで簡単にタンクを傾け中身を排出できるようになります。
また投入先のタンクの縁に引っ掛けられるような部品を追加し、投入中の支えにすることもできます(写真右)。
ハンドルを回すとタンクが反転する機能をつけることも可能です。投入後に残液をかき出すような作業がある場合、こちらの方が適しているかもしれません。
投入口にアクセスしやすくする
投入口が届きづらい場所にあり無理な姿勢をとってしまうような場合には、踏み台を追加すれば投入口の近くで作業ができます。
また、実際にお客様にご採用いただいた事例をご紹介します。
食品メーカー様にご採用いただいた写真左のタンクでは、原料が入った袋やタンクを一時的に置く作業台を設けました。女性作業者に合わせて高さを800mm以内に調整しています。
写真右のホッパーは化学系のお客様にご採用いただいた装置の一部ですが、一斗缶から原料を投入する工程なので、一斗缶を逆さまにした状態でぴったり置けるホッパーを設計・製作しています。
洗いやすいタンクで洗浄にかかる時間を短縮する
作業を終えた設備は洗浄に流れますが、手洗いの場合、腰を曲げて洗浄したり洗浄液がタンク内に溜まった状態で持ち上げたり、負担がかかる体勢をとってしまいがちです。
洗浄にかかる時間を少しでも短くするために、汚れが固着しづらいフッ素樹脂コーティングをタンク内面や部品にかけることができます(写真左)。
また、移動式タンクの接液部だけを取り外して洗えるような製品もございます(写真右)。脚がない分軽量で取り扱いが楽になります。
※ある程度高さがあったほうが洗いやすい場合もあるので、環境に合わせてお選びください。
ちなみに:腰痛が発生しやすい曜日と時間がある?
古いデータですが、2004年の厚生労働省の調査によると月曜日と休み明けの週初めに、4日以上の休業の原因となる腰痛が多発する傾向が認められています。
また時間帯別に見ると午前8時~11時の3時間が全体の4割を占め、中でも9~10時の1時間がピークとなっています。
撹拌機やバルブの着脱を楽にする
撹拌機(ミキサー)は重たく、また精密機器なので慎重に取り扱わなければなりません。
設備から撹拌機を外す際には撹拌機を高く持ち上げなければなりませんが、写真のように撹拌機を昇降できる架台を使うことで人力で持ち上げる必要がなくなります。
クレーンなど設置できる箇所があれば、重量物の取り扱いを補助するバランサーもオススメです。
ムーンリフタというバランサーはリモコン操作なし・手で軽く荷重をかけて移動できます。両手で位置決めしながら設置ができ、安全な取り扱いをサポートします。
撹拌機を外したあとの置き場として、専用のスタンドを用意すると便利です。置いたり持ち上げたりする際に屈む必要がありません。
また、作業台などに横置きするよりも安定した状態で組立・分解が可能です。キャスター付きで移動も簡単です。
タンクにバルブを接続する際、大きく屈んでタンクの下に潜り込むような姿勢になります。
そのまま重たいバルブを一人で接続部まで持ち上げ、保持して、固定するには時間がかかり、負担も大きいです。
バルブを接続位置まで持ち上げられる取付サポートジャッキのような製品を使用すれば、これを軽減できます。
背が低いタンクの移動を楽にする
背が低いタンクを台車に載せて移動するのは、前に屈む姿勢になり負担がかかります。目線が下がるので前方不注意になることも。
取っ手付きのタンク専用台車を使用することで、腰を曲げず前を向いたままタンクを移動させることができます。
ご紹介した製品はこちら
お客様の使い方に合わせたカスタマイズが可能です
当社製品は基本的に設計から製作まで一貫して社内でおこなっているため、柔軟なカスタマイズの対応が可能です。
1品だけのご注文も可能ですので、タンクや設備の使いづらさなどにお困りの際にはご検討ください。
また、これまでお客様にご採用いただいた製品の一部を採用事例としてご紹介しています。近い業界でどんなカスタマイズがされているのか、ご参考までにご覧ください。
参考文献
厚生労働省.“職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会報告書”. 厚生労働省. 2013-06-18.https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034qql-att/2r98520000034qs0.pdf, (参照2022-12-22)