ステンレス容器の中身を温めたい・冷やしたい!
ステンレス容器は、保温性の高さ(熱伝導率の低さ)から内容物の温度調節(以下:温調)工程で使用されることも多いです。
このコラムでは、ステンレス容器の温調方法について特長別にご紹介します。
特長別 温調方法
各温調方法を特長別に表形式でまとめました。
80℃以上の昇温 | 冷却対応 | 容器自体の 軽量さ | 焦げにくさ | 導入コスト | |
ジャケット容器 (熱媒:水) | × 不可 | ○ 可能 | △ 重くなる | ○ 焦げにくい | 高 |
ジャケット容器 (熱媒:蒸気) | ○ 可能 | ○ 可能 (冷却水循環) | △ 重くなる | △ 要注意 | 高 |
投げ込みヒーター | ○ 可能 | × 不可 | ○ 変化なし | △ 要注意 | 低 |
ラバーヒーター マントルヒーター | ○ 可能 | × 不可 | ○ 変化なし | △ 要注意 | 低 |
ジャケット容器を使用する方法
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ジャケットに任意の温度に調節した熱媒(蒸気や水)を流すことで、内容物の温調をします。
「とにかく一時的に温度を上げる」ような使い方よりも、温度センサーと併用して一定時間既定の温度まで温めるような制御をすることが多いです。
容器の外側に溶接でジャケットを取り付けるため容器が重くなるというデメリットがありますが、医薬品や食品の工場のような衛生グレードが高い場所での温調方法としては一般的です。
熱媒は多くの場合、最高温度が80℃未満の場合には水、80℃以上の場合には蒸気(スチーム)を使用します。
ジャケット容器(ジャケットタンク)とは?
外側に温調用の槽(=ジャケット槽・外槽)が付いた容器のことです。この槽に水や蒸気を流すことで、容器の中身を温めたり冷やしたりします。
チョコレートを溶かす”湯せん”でチョコレート等を溶かす作業がイメージとしては近いです。
当社では「ジャケット容器+チラー」または「ヒーターユニット」での温調をご採用いただくことが多いです。
ジャケット容器+チラー
チラーは、水を一定の温度にする装置です。チラーをポンプ等と組み合わせ、温度を調節した水をジャケット槽に熱媒として循環させます。
この後ご紹介する「ヒーターユニット」と大きく異なるのは『冷却もできる』という点です。
また容器は付け替えができるので、内容物に応じて複数の容器を使い分けたい場合にも適しています。
ヒーターユニット
ジャケット内に直接ヒーターが刺さった、当社オリジナルの一体構造です。
ジャケット内の水を直接温めます。
チラーを使用するとお湯がホースを通っている間に放熱してしまいますが、ヒーターユニットはそれが無く効率よく内容物を温めることができます。
また設置スペースを取らず移動が非常に簡単です。
投げ込みヒーターを使用する方法
容器内部にヒーターを挿し込んで内容物を直接加温します。
蓋に専用の口を設けて設置するのが一般的です。
ジャケットより低コスト・短時間で昇温可能なのが特長です。
また着脱が可能なので、容器本体を軽量にできるメリットもあります。
温める対象は水・油など焦げないものに限定されます。ヒーターに焦げ付いたり、その焦げが混入するのを防ぐためです。
採用事例
ラバーヒーター・マントルヒーターを使用する方法
シート状にした発熱体を容器等に巻き付けマジックテープなどで固定、加温します。
マントルヒーターは通常断熱材が付属しています。(保温効果向上・作業者の火傷防止のため)
ジャケットとは異なり着脱が可能なので、容器本体を軽量にできます。
複雑な形状にもフィットしやすい・小型の容器に設置しやすいのも特長です。
採用事例
ご要望に合った温調方法が選択可能です
このように、ステンレス容器の温調方法は重視するポイントにより様々な方法を選択できます。
当社ではお客様のご要望に沿った柔軟な対応が可能です。
温調工程に使用するステンレス容器をご検討の際には、ぜひご相談ください。