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技術コラム

粘度とは?高粘度の液体でよくある問題と対策
2024/08/26 08:30

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高粘度の液体(高粘度液/高粘度流体)は、そのままでは作業性が悪く扱いにくい液体です。「作業に時間がかかるのは仕方ない」と思ってしまいがちですが、その特長を理解し対策することができれば、作業性が大幅に向上するかもしれません。

このコラムでは液体の粘度についてと、高粘度の液体でよくある問題とその対策について取り上げます。

※当社は2024年4月に日東金属工業株式会社からMONOVATE株式会社へ社名変更しました。動画などのコンテンツ内で旧社名が表示されることがありますがご了承ください。

粘度とは?

粘度とは、粘り気や粘性、流れにくさの度合いを、水を1mPa・sとして数値化したものです。
サラサラしていて流動性の良い液体は粘度が低く、とろみがあったりドロドロしていて流動性の悪い液体は粘度が高いです。

粘度の例

【注意】ここで取り上げる粘度は一般的な参照データです。濃度や環境等により変わることがあります。

名称 粘度(mPa・s) 20℃
タール 1000000
練りハミガキ 30000
蜂蜜 10000
マヨネーズ(23℃) 8000
イチゴジャム(23℃) 6000
コンデンスミルク(21℃) 2000
ケチャップ(24℃) 1800
グリセリン 1499
オリーブオイル 100
トマトジュース(24℃) 77
サラダ油(23℃) 65
清酒 20
灯油 2.42
牛乳(24℃) 2
水銀 1.544
エチルアルコール 1.2
1
ガソリン 0.65
メチルアルコール 0.62
トルエン 0.586
クロロホルム 0.57
アセトン 0.322
エーテル 0.24
アンモニア 0.115

粘度に関する疑問・質問

以下で取り上げる液体の粘度は、20℃のときの参考値です。一般的な参照データのため、濃度や環境等により変わることがあります。

粘度の単位は?

現在、粘度の単位にはmPa・s(ミリパスカル秒)やPa・s(パスカル秒)が使われています。以前はcP(センチポアズ)やP(ポアズ)も使われていました。これらの単位は以下のように換算できます。

1Pa・s=1000mPa・s
1mPa・s=1cP
100cP=1P

水程度の粘度とは?

水の粘度は1mPa・sで、粘度のない液体と認識することが多いです。

水より粘度が低い液体もある?

ガソリン(0.65mPa・s)やアンモニア(0.115mPa・s)が水よりも粘度が低くサラサラとした液体です。

はちみつ程度の粘度とは?

はちみつの粘度は10000mPa・s程度、当社では高粘度と考える液体です。

水あめ程度の粘度とは?

水あめの粘度は100000mPa・s程度で、かなり高粘度の液体です。

とんかつソース程度の粘度とは?

2000mPa・s~4000mPa・s程度で、当社では中粘度~中高粘度と考える液体です。

100cPの液体の具体例は?

100cP=100mPa・sですので、オリーブオイルが該当します。水に比べると少しトロっとしており、サラダ油よりは粘度のある液体です。

粘度のある液体の問題点と対策

粘度が高い液体には、以下のような問題が発生しやすくなります。

  • 何をするにも時間がかかる
  • ムラになりやすい
  • 品質が安定しない
  • ちゃんと混ざらない
  • 気泡が抜けない
  • へばりつく
  • 液だれ、尻漏れ

これらの問題を解決するためにできる対策をご紹介します。

とにかくできるだけ粘度を下げる

一般的な液体は温度が下がると粘度が増してしまい、温度が上がると粘度が下がる性質を持っています。加温(加熱)して粘度を下げてから作業することで、粘度に関係する問題は発生しにくくなります。
例えばヒーター内蔵の撹拌装置を使用すると、加温して粘度を下げた状態のまま材料を混ぜ合わせることができます。粘度が下がれば、作業時間の短縮や作業者負担の軽減になったり、均一に混ざりやすくなることで品質の向上にもつながります。

パワーのある装置や強制的に動かす構造を選ぶ

粘度の高い液体は流動性が非常に悪く、撹拌工程では高粘度液に対応できる撹拌装置の選定が必要です。
撹拌機であれば、例えばベルヌーイ流撹拌機のような中高粘度(4,000mPa・s程度)までの液体の撹拌ができる撹拌機など、内容物の粘度に対応できる撹拌機選びが大切です。

ステンレスタンクの内面にへばりつくような粘度の高い液体には、撹拌羽根(撹拌体)をアンカー翼のような高粘度液に適した形状にすることも効果的です。
以下の動画では、粘度がある材料を使用する撹拌デモでアンカー翼を採用しています。

高粘度液をスムーズに排出したい場合は、排出性に優れた貯蔵タンクや撹拌タンクにすることをおすすめします。
例えば下記の事例のように、底の傾斜角度を大きくすることで高粘度の液体(この事例ではペンキ)をスムーズに排出できるようになります。

圧力を利用する

粘度のある液体には、圧力を利用するのも効果的です。加減圧可能な撹拌タンクを使用することで、材料の混合・撹拌から減圧脱泡、加圧液送などを1台のタンクでおこなえる場合があります。
下記の事例は、薬液を外気に触れさせず撹拌~脱泡~圧送する工程で使われる圧力容器の製作事例です。

スラリー液のような粘度のある液体のろ過では、吸引ろ過(減圧ろ過)や加圧ろ過のような圧力を利用したろ過方法が適しています。

参考動画:吸引ろ過(減圧ろ過)容器製品動画

>吸引ろ過容器と加圧ろ過容器 選ぶための4つのポイント

すべりやすくする

使用するタンクや器具の高粘度液への接触面にすべり性を向上させる表面処理を施工することで、ロスの低減やタンクの洗浄性の向上などの効果があります。
例えばフッ素樹脂コーティングを施工することで、すべり性が向上して高粘度液のへばりつきが抑えられます。当社ではタンクや器具製作時のオプション加工として承ります。

液だれ・尻漏れを防ぐ

特に小分けの際に起こりやすい液だれ、尻漏れを防ぐことで、周囲の汚染や材料のロスを低減できます。
液だれ・尻漏れには粘度の高いものだけでなく、粘度が低くとてもサラサラしている液体の場合にも起こることがあります。そのような時には液だれ防止ビーカーのような、液だれ対策がされているものの使用をおすすめします。


このビーカーには10Lを製作したカスタマイズ事例もあります。

粘度問題が解決するか試してみませんか?

デモのイメージ

粘度のある材料を使用していたり、粘度のある製品を作っている、または今後検討している方など、粘度に関する問題をお持ちで解決策をお探しの方は、一度MONOVATEまでご相談ください。

このコラムで紹介したベルヌーイ流撹拌機ヒーターユニットなどのMONOVATE製品は、購入前にデモを実施できます。
まずはデモ機を使って問題が解決するか実験してみませんか?デモの詳細については、ご案内ページをご覧ください。

デモのご案内ページを見る