
ジャケット(外槽)付きステンレスタンクは、温水やスチームによる温調が可能な便利な設備ですが、断熱対策が不十分だと熱効率の低下や火傷のリスク、作業環境の温度上昇といった課題が生じます。
効率よく温度を保ち、作業者の安全性を高めるには、断熱方法の選定が重要です。
このコラムでは、断熱ジャケット・カバーなど代表的な3つの断熱方法と、実際の使用事例をご紹介します。
ジャケットとは
ジャケットタンクの温調方法についてはステンレス容器の温調方法を、ステンレスタンクの耐熱温度についてはステンレス容器の耐熱温度と加熱に関するあれこれをご覧ください。
断熱の目的
ジャケットタンクへ断熱対策を施す目的としては、主に以下の3つの理由が挙げられます。
高温のタンクに触れることでの火傷や事故を防ぎたい
省エネ、昇温時間の短縮など、効率よく温調したい
タンクからの放熱による室温の上昇を抑制したい
実際の現場での課題や必要とされる対策については、使用環境や温度によって異なります。
ここからは、効率よく温度を保ち、作業者の安全性を高めるために欠かせない、ジャケットタンクの断熱方法について説明します。
断熱方法
MONOVATEで製作しているステンレス製ジャケットタンクの断熱方法は大きく3つに分けられます。
ここでは、各断熱方法の詳細やメリット・デメリットをご紹介します。
1.ジャケット部に直接触れないように外装を付ける


1つ目の断熱方法は、ジャケットの外側に筒状の外装を取り付けて断熱する方法です。
ジャケットと外装の間には隙間があり、外装への熱伝導を少なくしています。
外装はタンクの材質と同じステンレス(SUS304)です。
外装を取り付けるメリット
- 直接ジャケット部に触れないので火傷防止になる。
外装を取り付けるデメリット
- 放熱を防いでいないので、温調効率アップや室温上昇などの対策とはならない。
採用事例|撹拌機座付ジャケット容器
2.ジャケット部に断熱材(保温材)を入れる


2つ目の断熱方法は、ジャケット内に断熱材を入れて断熱する方法です。
水などを流すジャケットの更に外側に断熱材を入れたジャケットを作ります(2重ジャケット)。
当社の断熱材は主にグラスウールを使用していますが、他にはパーライトや発泡ウレタンなどがあります。
断熱材のメリット
- タンク内に断熱材が収納されており、使用時や洗浄時に干渉せず取り扱いしやすい。
- タンクの外側まで熱が伝わりにくく、火傷対策や温調効率の向上が期待でき、室温の変化も抑えられる。
断熱材のデメリット
- タンク製作時に断熱材を入れるため、既存タンクへの追加ができない。
- 断熱材と断熱材を入れるジャケット分、容器が重くなる。
グラスウールとは
人工的に作られたガラス繊維でできており、綿状で加工しやすく、コストパフォーマンスの良い断熱材です。住宅の断熱材としても広く使用され、吸音材としても使われています。
関連製品|鏡板型耐圧ジャケット容器 断熱槽・脚付【DT-TJJ-L】
3.断熱カバーを取り付ける


3つ目の断熱方法は、タンクの外側に断熱材の入ったカバーを取り付けて断熱する方法です。
カバー内にはグラスウール・ニードルマット等の断熱材が入っています。(メーカーにより異なります。)
クリーンルームでも使用できる低発塵性の断熱カバーもあります。
断熱カバーのメリット
- 既存のタンクにオーダーメイドで専用カバーを製作でき、繰り返し使用できる。
- カバーの外側まで熱が伝わりにくく、火傷対策や温調効率の向上が期待でき、室温の変化も抑えられる。
- カバーが取り外しできるので、タンク自体は断熱材入りのタンクに比べて軽量。
断熱カバーのデメリット
- タンク洗浄時にカバーを取り外す必要がある。
- 使用環境によってはカバーの材質を変える必要がある。
関連製品|断熱カバー【ECK】
その他の断熱方法:真空ジャケット容器
当社では製作しておりませんが、ジャケット内を真空にすることで、熱が外へ逃げないようにして保温効果を高める方法もあります。(例:魔法瓶)
また、断熱材を入れて真空にする場合もあります。
結露対策

ジャケットに冷水を流して保冷する場合など、室温との温度差によってはタンク表面に結露が生じてしまいます。
結露はカビやサビの原因だけでなく、異物(不純物)混入の原因にもなります。
保温の場合と同様にタンクに断熱材を入れたり断熱カバーを使用することで、タンク表面と室温との温度差を低くでき、結露防止になります。
採用事例
ここでは、断熱の機能を採用したステンレスタンクや撹拌タンクの製作実績をご紹介します。
ステンレスタンクと合わせて、断熱対策もご提案可能です
MONOVATEでは、温調効率の向上や省エネ、火傷リスクの低減といった視点から、断熱対策を組み込んだステンレスタンクのご提案が可能です。
タンクの使用環境や運用条件に応じて、適切な断熱方法の選定とご提案をいたします。
省エネルギー対策や労働災害対策としても効果的な断熱方法を検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。










