技術コラム

進化したステンレス容器「片テーパー型容器」
2016/06/27 09:00

進化したステンレス容器「片テーパー型容器」タイトル画像

ステンレス容器は、工場や研究施設はもちろん、家庭でも調理や保管用として幅広く使用されています。

その中でも、排出性や作業効率に優れた構造として注目されているのが片テーパー型のステンレス容器です。

まだあまり知られていないこの形状には、液体や粉体の排出性向上や作業負担の軽減といったメリットがあります。

本コラムでは、片テーパー型容器の特長や通常のステンレス容器との違いについて、わかりやすく解説します。

なお、テーパー型容器については作業負担が軽減する「テーパー型ステンレス容器」の特長をご覧ください。

進化したステンレス容器「片テーパー型容器」とは

片テーパー型容器は、底が排出口に向かって傾斜している容器です。

容器を傾けなくても自然と排出口へ液体が集まるので、排出性に優れています。

一般的な容器とどのように違うのか比較してみましょう。

一般的な排出口付きの容器:液体のロスが生じてしまう

排出口と底に段差が生じており、液残りが発生します。

全量排出が困難なため、ロスが生じてしまいます。

液体が残ってしまうステンレス容器

片テーパー型容器:最後までスムーズに排出!

排出口に向かって底が傾斜しており、自然と液が排出口に向かって流れ出ます。

排出口と底に排出の妨げとなる段差が無く、スムーズな排出を促します。

液体の供給工程だけでなく、容器使用後の洗浄工程においても、洗浄の簡素化や洗浄時間の短縮につながります。

ロスなくスムーズに排出できるステンレス容器

こんなときに片テーパー型容器が便利です

液体のロスを減らしたいとき / スムーズに排出したいとき

一般的な容器に継手を付けるとどうしても液残りが発生してしまうため、全量排出を促すためには容器を斜めにするなどしなければなりません。

片テーパー型容器は排出口に向かって底が傾斜しており、継手の溶接部もフラットに仕上げています。そのため、容器を傾けなくても内容液をスムーズに排出でき、液残りによるロスを低減できます。

横に配管をつなぎたいとき / ストレートに配管へつなぎたいとき / 容器の高さを低く抑えたいとき

下部排出の貯蔵タンクや撹拌タンクでは、容器の下に配管が接続できる分のスペース(高さ)が必要になります。配管を横に伸ばす場合はエルボなどで方向を変換する必要があります。

片テーパー型容器は横排出のため、低い位置でもストレートに配管と接続できるメリットがあります。

下部排出と横排出の排出・配管ルート比較

下部排出

  • 下に排出する際には適している
  • 横排出となると配管が長くなる
  • 排出口下部にスペース(高さ)が必要

片テーパー型(横排出)

  • 配管の取り回しが短くできる
  • 容器の全高を低くできる

排出量(流量)を調整したいとき

手動二方ボールバルブを取り付ければ、容器側で簡単に流量の調整ができます。

下部排出では下部にバルブがあり操作しにくいですが、片テーパー型容器は横排出のため開閉操作が楽におこなえます。

下部排出と横排出のバルブ位置比較

下部排出

  • バルブが容器の下部にあるため、都度しゃがんで開閉操作する
  • バルブの開閉状態が目視しにくい

片テーパー型(横排出)

  • バルブが容器の側面にあるため、しゃがまずに楽に開閉操作できる
  • バルブの開閉状態が目視しやすい

片テーパー型容器 用途別ラインナップ

標準仕様(蓋3種)

かぶせ蓋タイプ
【KTT-ST】
【KTT-ST】片テーパー型汎用容器

かぶせ蓋付きでスタンダードなタイプ。密閉不要の場合にはこのタイプが最適。

製品の詳細を見る

クリップで密閉タイプ
【KTT-CTH】
【KTT-CTH】片テーパー型密閉容器 クリップ式

クリップで簡単に密閉できる。クリップは容器に付いているので開閉しやすい。

製品の詳細を見る

バンドで密閉タイプ
【KTT-CTL】
【KTT-CTL】片テーパー型密閉容器 バンド式

バンドで簡単に密閉できる。クリップと違い容器に密閉用の部品が付いていないので洗いやすい。

製品の詳細を見る

容器ごと工程間を移動させたい

容器の移動が必要な場合や、中身を入れたまま移動する場合にはキャスター脚付き容器がおすすめです。

内容物の温度調節をしたい

内容物の保温や冷却をしたい場合には、ジャケット部に水を流すことができるジャケット容器や、ヒーター内蔵の撹拌タンクがおすすめです。

ヒーターユニットは、短時間で温められるヒーター付きのステンレス容器です。

撹拌機を取り付けたい

可搬型の撹拌機を容器に直接取り付けできるカクハン機座付き容器がおすすめです。キャスター脚付き、ジャケット付きなど用途に合わせて選ぶことができます。

高粘度の液体を扱いたい

標準品よりも傾斜をきつくした急傾斜タイプがおすすめです。底面の傾斜を10°に設計しており、高粘度の液体の残液ロス削減に効果的です。

完全オーダーメイド(特注製作)事例

MONOVATEでは、用途や使用環境に合わせた貯蔵タンクや撹拌タンクを1品からオーダーメイドで設計・製作できます。ここでは、片テーパー型ステンレス容器のオーダーメイド実績事例をご紹介します。

ワックス溶解用タンク
ワックス溶解ヒーターユニット【採用事例】
この事例を詳しく見る

樹脂の希釈用タンク
樹脂の希釈を内製化する撹拌ユニット【採用事例】
この事例を詳しく見る

食品原料の貯蔵・排出用タンク
リフター付きレシーバータンク【採用事例】
この事例を詳しく見る

高粘度液貯蔵排出用タンク
高粘度液貯蔵排出容器【採用事例】
この事例を詳しく見る

撹拌・温調・加圧タンク
200L 片テーパー型撹拌加圧ユニット【採用事例】
この事例を詳しく見る

液体供給用タンク
架台付き液体供給容器【採用事例】
この事例を詳しく見る

異物ろ過用タンク
異物ろ過用ステンレス容器【採用事例】
この事例を詳しく見る

注射製剤製造用タンク
注射製剤製造用調液タンク【採用事例】
この事例を詳しく見る

撹拌温調タンク
150Lヒーターユニット【採用事例】
この事例を詳しく見る

片テーパー型容器の導入・カスタマイズのご相談はお気軽に!

MONOVATEでは、排出性・洗浄性・作業効率に優れた片テーパー型ステンレス容器をはじめ、製造現場の課題に応じたオーダーメイド容器・撹拌装置をご提案しています。

「高粘度原料を最後まで排出したい」「洗浄しやすい構造にしたい」など、作業効率化・異物混入防止に関するご要望にも対応可能です。お見積り・製作可否・技術的なご相談など、どうぞ気軽にご相談ください。

 製品について相談する  

あわせて読みたい記事

「投入や排出のロスを改善するカスタマイズ」を実績からご紹介します
作業者の安全を守る ヒヤリハットを防ぐカスタマイズ
スラリータンクのご提案例
キャスター付きだけじゃない!脚付きホッパータンクの種類と特長

更新日: