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技術コラム

"そこ"が違う ステンレス容器の選びかた

2021/06/07 09:00

底が異なるステンレス容器の選定方法

医薬品、食品、化学などの製造業では、原料や製品の貯蔵・調合などにステンレス容器が多く使われています。
なかでも丸型ステンレス容器は幅広い現場で使用されていますが、実は容器の「底の形状」によって、使いやすさが大きく変わります。

このコラムでは、ステンレス容器の底形状に焦点をあて、「平底」「片テーパー底」「ホッパー底」「鏡板底」といった代表的な4つの底形状の違いや、各形状の特長・選定ポイントをわかりやすく解説します。
「底形状でどう変わるの?」「どれを選ぶと現場が快適に?」という方はぜひご覧ください。

平底

平たい底のイメージ

平底のステンレス容器とは、底に凹凸や傾斜がない平たい底のステンレス容器です。
液体、粒体、固体、形状を問わずさまざまなものの貯蔵、輸送に使われています。

ステンレス容器の中で最も一般的な形状のため製作しやすく、また製作しているメーカーも多いため、他の底形状の容器に比べて安価であり、即納できる製品も多いです。

排出口を設けていないものが多く、中身を取り出したいときには容器を傾けたり反転させたりする必要があります。
排出口を設けるカスタマイズも可能ですが、他の底形状に比べて排出性に劣るため、コスト重視で多少のロスを許容できる場合となります。

平底のステンレス容器例

平底を採用している製品の一例です。

密閉容器(キャッチクリップ式)【CTH】

クリップタイプのステンレスタンク

簡単に密閉できるクリップが付いた平底のステンレス容器です。材料の貯蔵から出来上がった製品の運搬まで、さまざまな工程で使用されています。

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吊り下げ式密閉容器目盛付(バンド式)【CTLB-M】

吊り下げ式密閉容器目盛付

ペール缶のように片手で持ち運べるステンレス容器です。容器側面に目盛があり、計量や内容量の確認が簡単におこなえます。

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片テーパー底

底に傾斜が付いた底のイメージ

片テーパー底のステンレス容器とは、平底に傾斜を付け、底の一番低い位置に排出口を設けたステンレス容器です。
主に液体の貯蔵と排出(供給)用として、液体を一時貯蔵した後にスムーズに排出したいときに使われています。

内容液が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れています。
排出口が横向きで配管へ接続しやすくなっているのは、他の底形状にはない特長です。
粘度のある液体を扱う場合には、傾斜角度を変更して排出性を高めることもできます。

片テーパー底のステンレス容器例

片テーパー底を採用している製品の一例です。

片テーパー急傾斜型容器 脚付【KTTX-L】

片テーパー急傾斜型容器 脚付

従来の片テーパー底の容器では底面の傾斜がのところ、本製品では傾斜を10°に設計。スムーズな供給だけでなく残液ロス削減にも効果的な製品です。

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ベルヌーイ流撹拌機付 ヒーターユニット【KHU】

ベルヌーイ流撹拌機付 ヒーターユニット

ステンレス容器、ヒーター、撹拌機、バルブがセットになった製品です。容器はジャケットを付けた片テーパー底のステンレス容器を採用しています。内容物をムラなく昇温でき、出来上がった液をスムーズに取り出すことができます。

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ホッパー底

ホッパー形状の底のイメージ

ホッパー底のステンレス容器とは、底を逆円錐の形状にして、その中央に排出口を設けたステンレス容器です。
主に粉体や粒体の貯蔵と排出(供給)用として使われています。

内容物が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れている特長があります。
ホッパー角度の変更や、排出口が端にある偏心ホッパーなど、内容物の性質などを考慮した仕様で製作することができます。

ホッパー底の製品例

ホッパー底を採用している製品の一例です。

偏心投入ホッパー【TEHT】

偏心投入ホッパー

排出性に優れた偏心形状のホッパーです。装置やタンクに取り付けて材料投入などに使われます。通常のホッパーに比べて周辺部品との干渉を調整することもできます。

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集塵フード付ホッパー 脚付【HTD-L】

集塵フード付ホッパー

集塵機・空気輸送機と組み合わせて、粉体投入時に舞い上がる粉を回収できる製品です。粉体投入後の清掃時間短縮・作業場の衛生環境向上が可能です。

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鏡板底

お椀形状の底のイメージ

鏡板底のステンレス容器とは、底をお椀のように丸みがある形状(鏡板)にして、その中央に排出口を設けたステンレス容器です。
主に液体の貯蔵・撹拌・排出までをおこなう調合用の容器として使われています。

内容液が自然と排出口に集まるため、平底に比べて排出性に優れています。
また、隅々まで対流し均一に撹拌できるため、平底に比べて撹拌性にも優れています。

※排出口を設けない鏡板型容器もあります。製品例

鏡板底の製品例

ベルヌーイ流撹拌ユニット DTHB型【KU-DTHB】

ベルヌーイ流撹拌ユニット

ベルヌーイ流撹拌機、ステンレス容器、バルブがセットになったユニットです。撹拌効率に優れた鏡板底のステンレス容器を採用しています。

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鏡板型容器 架台付(撹拌機座付)【DT-ASC-K】

鏡板型容器 架台付

架台には撹拌機を取り付けるためのカクハン機座を設け、容器は撹拌に適した鏡板底のステンレス容器を採用した製品です。架台から容器を取り外すこともでき、作業性に優れています。

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底形状まとめ

  • 平底 → 納期やコストを重視するときに選ばれている
  • 片テーパー底 → 液体をスムーズに供給したいときに選ばれている
  • ホッパー底 → 粉粒体を扱うときに選ばれている
  • 鏡板底 → 液体を調合するときに選ばれている

現場の用途に合った容器を選ぶことで、作業効率や洗浄性の向上などの効果があります。

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