ステンレス容器などの容量を基準に容器を選ぶ際、これが満水時の容量なのか、少しゆとりを持たせた容量なのか(どのくらいゆとりがあるのか)気になったことはありませんか?
製造業や研究現場では、仕込み量や処理量に合わせて容器容量を選定することが一般的ですが、最大容量と有効容量の違いを把握していないと、思わぬロスや作業の手戻りにつながることがあります。
本コラムでは、MONOVATE製ステンレス容器の容量についてと、容器を選ぶ際に注意すべきポイントをわかりやすく解説します。
容量には有効容量と最大容量がある
製品やメーカーによって基準は異なる場合があるかもしれませんが、当社容器での認識は下記になります。
有効容量(容量・貯蔵容量)
有効容量とは、標準的な使用で目安となる容量、確実に入る容量、蓋やパッキンなどの干渉を考慮してゆとりを持たせた容量などのことをいいます。
最大容量(満水容量・全容量・総容量)
最大容量とは、満水状態のときの容量のことをいいます。
仕込み量から容器の容量を選ぶときの注意点
容器の容量を仕込み量に合わせて選ぶ際は、「最大容量=使える容量」ではない点に注意が必要です。
実際の製造現場では、撹拌や加温時のゆとり、内容物の泡立ちや膨張などを考慮して、有効容量に余裕を持たせる設計が基本です。ここでは、容器選定時に見落としやすい注意点について解説します。
容器の有効容量と最大容量の差に注意!
当社で容量としているのは、基本的には有効容量のほうを表していますが、サイズによってはほぼ最大容量であるものがあります。今回このコラムを作成するにあたり当社容器の容量について調べましたが、有効容量が最大容量の○%というような規則性のあるものではありませんでした。
例えば容量を4Lとしている容器(18サイズ/内径180mm×高さ180mm)の場合、4Lの液面は容器の縁から約22mm下の位置にあります。しかし、容量を36Lとしている容器(36サイズ/内径360mm×高さ360mm)の場合、36Lの液面は容器縁から約1mm下の位置なので、ほぼ最大容量と言える量です。
MONOVATE製ステンレス容器の容量一覧
※蓋を使用しない場合の容量です。
※ここでの公称容量とは、当社カタログ等に記載の容量のことです(有効容量)。
容器サイズ | 公称容量 L |
満水容量 L ※概算値 |
容器内径 φmm |
容器内高 mm |
公称容量の液面 mm (容器上部から) |
18 | 4 | 4.6 | 180 | 180 | 22 |
21 | 7 | 7.3 | 210 | 210 | 7 |
24 | 10 | 10.8 | 240 | 240 | 18 |
27 | 15 | 15.4 | 270 | 270 | 7 |
30 | 20 | 21.2 | 300 | 300 | 16 |
33 | 25 | 28.2 | 330 | 330 | 37 |
36 | 36 | 36.6 | 360 | 360 | 5 |
39 | 45 | 45.8 | 387 | 390 | 7 |
39H | 50 | 56.4 | 387 | 480 | 54 |
43 | 65 | 65.2 | 430 | 450 | 1 |
43H | 70 | 75.4 | 430 | 520 | 37 |
47 | 80 | 81.3 | 470 | 470 | 8 |
47H | 100 | 103.9 | 470 | 600 | 22 |
565 | 150 | 150.5 | 565 | 600 | 2 |
565H | 200 | 225.9 | 565 | 900 | 103 |
635 | 300 | 316.2 | 635 | 1000 | 51 |
77 | 400 | 418.2 | 770 | 900 | 39 |
77H | 500 | 511.3 | 770 | 1100 | 24 |
100 | 750 | 811.3 | 1000 | 1035 | 78 |
100H | 1000 | 1066.6 | 1000 | 1360 | 85 |
蓋が容量に影響する場合がある
実際に入れられる量に関しては、蓋の有無や蓋の形状に大きく影響されます。これは蓋の種類によって容器の縁よりも低い(下に凹んでいる)部分があるからです。
当社の蓋ですとストック蓋【SF】、密閉蓋【MF】などが該当します。
仕込み量だけで容器の容量を決めない
仕込み量についてだけでなく、"何に使うのか"を考慮して容器を選ぶと、作業性が向上するなどのメリットがあります。
例えば、容器に入れた液体を撹拌(混合)する場合はどうでしょうか。混ぜ合わせるときに液面が波打ったり、撹拌機で撹拌すると壁面の液面が上昇することが予想されます。
例えば1サイズ大きい容器を採用するなど、容器の容量にゆとりがあれば、多少の波打ちや液面上昇があっても周囲を汚さずに作業できます。
「液体に材料を投入する」「材料を混ぜると発泡したり膨張する」「中身を入れたまま容器を移動する」ような工程があるときも同様に、材料が溢れる・飛散するというトラブルを防ぐことができ、作業性の向上につながります。
既製品の容器では容量が合わないときの解決策
容量にゆとりのある容器を選んだら、サイズが大きくて使いにくかったり、設備と干渉してしまったりなどの問題が出てくることもあります。そのようなときには特注製作がおすすめです。
フルオーダーすることもできますが、まずは以下のようなコストを抑えたカスタマイズを検討してみてはいかがでしょうか?
希望に近い容器を選んで、高さを変えるだけのカスタマイズ
MONOVATEはステンレス容器メーカーのため、カスタマイズのベースとなる製品が既に存在します。そのため、希望に近い形の製品を選定して、その高さを変える(=容器の容量を増減させる)カスタマイズができます。
フルオーダーまでのコストや時間をかけなくても、用途や内容物に合わせて有効容量や最大容量を加味した容器を作ることができます。
例えば以下のカスタマイズ事例では、高さを高くして容量を変更しています。
以下のカスタマイズ事例では、高さを低くして容量を変更しています。
高さに制限がある場合は、内径サイズが1つ上(または下)の容器に変える+高さを変える2つのカスタマイズを組み合わせてご提案しています。 また、フルオーダーでの製作も多くの実績があります。
ステンレスタンクメーカーのMONOVATE株式会社では、用途に応じた保存容器の選定や、最適な容器サイズに関するご相談を承っています。
実際の使用シーンに適した容器選びをサポートいたしますので、気軽にお問い合わせください。