20号タンクとは、危険物を一時的に貯蔵・滞留させるタンクのことです。
消防法「危険物の規制に関する政令」第9条第1項第20号で定義されているため、このような名前になっています。
このコラムでは20号タンクの用途や判断方法など、わかりやすく解説します。
- 「20号タンク」とは危険物を一時的に貯蔵・滞留させるタンクのこと
- 危険物を入れる容器は、危険物を扱う①目的と②数量によって分類される
- 20号タンクに該当する場合には政令による規制を受け、検査を受けるなどの必要がある
そもそも消防法って?なんでタンクに関係あるの?
消防法とは火災を予防し、火災または地震による被害を小さくするための法律です。
その内容は報知器や消火栓など設備の設置・消火活動について…などさまざまですが、その中に「危険物の規制に関する政令」という内容があります。
燃えやすい(可燃性がある)・燃焼を促進する(支燃性がある)ものを危険物として定め、それを入れるタンクの構造や設備全体に細かい規定を設けることで、危険物による火災を未然に防いでいます。
一般家庭でみかけるような灯油用ポリタンクも、消防法に基づいて一定の表示を付けています。
危険物にはどんなものがある?
では、具体的にどんなものが危険物にあてはまるのでしょうか。
例として、下記のようなものがあります。
分類 | 名称(性質)例 | 指定数量 |
第1類 | (第1種酸化性固体) | 50kg |
第2類 | 鉄粉 | 500kg |
第3類 | カリウム | 10kg |
第4類 | アルコール類 | 400L |
第5類 | (第1種自己反応性物質) | 10kg |
第6類 | 硝酸 | 300kg |
「危険物の規制に関する政令」第一条の十一 別表第三
ちなみに指定数量とは:危険物の種類ごとに定める、規制のうえで判断基準となる数量。引火性・可燃性・水溶性など、危険性の高いものほど少なくなる。
ここに挙げられている以外にも危険物に該当するものは多数あります。
実際に扱う内容物が危険物に該当するかどうかを判断するには、内容物の供給者からSDS(製品安全データシート)を取り寄せて確認するのが確実です。
危険物を入れる容器には種類がある
危険物を入れる容器がすべて20号タンクに該当するわけではありません。
容器がどんな規制を受けるのか調べるためには、危険物を扱う①目的と②指定数量を考えていきます。
①目的
→危険物を「運搬」するのか、「貯蔵」するのか?
A.運搬:
トラックなどの一般車両で運ぶ(タンクローリーに入れて運ぶのは貯蔵にあたる)
B.貯蔵:
運搬にあてはまらないもの
②(①が「貯蔵」の場合のみ)指定数量
→扱う危険物の量が指定数量に対して「1/5以上」か、「1/5未満」か?
A.1/5以上(指定数量未満):
消防法「危険物の規制に関する政令」による規制を受けます。=20号タンク
※指定数量以上の場合、別途許可が必要です。
B.1/5未満:
タンク設置(使用)場所の市区町村条例による規制を受けます。=13号設備
また、①目的が「運搬」の場合には、扱う量に関わらず法律による規制を受けます。
※運搬の方法(陸海空)によって規制の種類が異なります。
弊社の容器では、内容物によりますが【PSF-UN/PSH-UN】危険物輸送容器がご利用いただけます。
20号タンクに該当した場合、「タンクの板厚は3.2mm以上にする」、「危険物があふれないよう、内容量を表示する機能をつける」といった規定に沿って製作し、消防署による水張り試験・水圧試験(圧力容器の場合)などを受ける必要があります。
20号タンク=危険物を指定数量の1/5以上貯蔵するタンク
20号タンクがどんなものなのか、お分かりいただけましたでしょうか?
消防法では火災を防止するために、危険物を保管する容器にも決まりごとを作っているんですね。
MONOVATEでは、ステンレス製20号タンクのオーダーメイド製作が可能です。
内容物や容量、ご希望の仕様などを記入いただき、お気軽にお問い合わせください。