ステンレス容器・撹拌装置メーカーのMONOVATEでは、お客さまよりステンレス容器の耐熱温度は何℃ですか?とご質問いただくことがあります。
このコラムでは、ステンレス容器の耐熱温度と、ステンレス容器を使って内容物を加熱(加温/昇温)するときの注意点、加熱に関するよくある質問についてご紹介します。
目次
ステンレス容器の耐熱温度とは
ステンレス容器の耐熱温度は、ステンレス鋼の種類によって異なります。ここでは、MONOVATE製ステンレス容器で主に使用している、SUS304(18-8ステンレス)ステンレス鋼の場合についてご紹介します。
ステンレス容器の耐熱温度
SUS304(18-8ステンレス)ステンレス鋼自体の耐熱温度は700℃~800℃程度ですが、300℃以上になると焼色(テンパーカラー)が付きます。
当社製ステンレス容器は薄板で製作しており、高温になると焼色だけでなく歪みなどが生じて使用に支障が出やすくなりますので、耐熱温度は約300℃としています。(耐寒温度は-273℃)
※焼色の色は素材・温度・表面状態などにより異なります。
※他社製品の耐熱温度につきましては、製品のメーカーさまにお問い合わせください。
付属品の耐熱温度に注意
例えばパッキンが付属するステンレス容器の場合、ステンレスの耐熱温度がOKだとしても、パッキンの耐熱温度がNGである場合があります。パッキンなどステンレス以外の付属品がある場合は、付属品自体の耐熱温度もご確認ください。
パッキン特性一覧表
ステンレスは一度温まれば冷めにくい
ステンレス(SUS304)はアルミや銅などに比べると熱伝導性に劣り、温まるまでに時間がかかります。しかし保温性(蓄熱性)に優れており、一度温まれば冷めにくいのが特長です。
加えてステンレスは錆びにくく衛生的に永くご使用いただけるため、温調を伴う工程ではステンレス容器が選ばれています。
温調方法に関しては、ステンレス容器の温調方法をご覧ください。
ステンレス容器を使って内容物を加熱するときの注意点
ステンレス容器を使って内容物を加熱する工程では、取り扱いを誤ると火災や火傷などの重大な労働災害につながる恐れがあります。特に製造現場では、安全対策を怠ることで設備損傷や作業者の負傷事故を招くリスクが高まります。
加熱用途でステンレス容器を使用する際は、容器の構造や加熱方法に応じた正しい使い方を事前に確認し、安全性を確保することが不可欠です。ここでは、ステンレス容器を安全にご使用いただくための注意点についてご説明します。
空焚きや密閉状態での加熱は絶対にしない
ステンレス容器は、空焚きや密閉状態での加熱は絶対におこなわないでください。
空焚きは火災などの原因になります。また、密閉したまま加熱すると内部の圧力が強まり爆発など思わぬ事故やケガの原因となります。
クリップ式やバンド式の密閉容器の場合は、クリップやバンドを外して開放状態で加熱してください。
火傷の対策をする
加熱されたステンレス容器は表面も高温になっており、誤って触れると火傷します。
MONOVATEでは火傷の対策として、断熱カバーとよばれる保護カバーを容器の外面に巻き付けて断熱することや、断熱槽が付いているステンレス容器のご提案が可能です。
断熱方法について詳しくは温調効率アップや火傷防止に!ジャケットタンクの断熱方法とは?をご覧ください。
周囲温度からの影響、周囲温度への影響を抑える
ヒーター付きのステンレス容器など、昇温を目的としたステンレス容器の場合は、「どのくらいの時間で昇温できるか」が重要になります。
希望に適した機器の選定はもちろんですが、設置場所の周辺温度についても考慮することが大切です。
設置場所の周囲温度が低い場合は、熱が奪われてしまうため昇温のスピードが遅くなり、品質低下や工数増加の原因になります。また、ステンレス容器からの放熱があれば周囲温度は上昇し、生産性の低下や熱中症などのリスクが高まります。
周囲温度からの影響、周囲温度への影響を抑えるには、火傷の対策と同様に断熱することが有効です。
ステンレス容器を使った加熱に関するよくある質問
ここではステンレス容器の加熱に関してよくいただく質問をいくつかご紹介します。
ステンレス容器はガスコンロやIHで加熱できる?
MONOVATE製のステンレス容器(特に寸胴鍋のような形状のもの)は主に貯蔵での使用を想定し、薄板のステンレス材で製作しています。そのためガスコンロ等で加熱すると容器が変形・変色する可能性があります。
空焚きや密閉状態でなければ加熱自体は可能ですが、加熱による変形や変色などについては保証対象外です。
IHはオールメタル対応品でのみ使用できますが、対応可否についてはIHメーカーへお問い合わせください。
焦げ付きやすい内容物はどう加熱したらよい?
内容物の温度にムラが出ないないように撹拌しながら昇温させること、直火ではなく湯せんのような方法をとることで焦げ付きにくくなります。
MONOVATEでは、湯せん式で撹拌しながら昇温できるヒーターユニットをご提案できます。
容器メーカーおすすめの温調方法は?
加温のみでOKな場合、加温・冷却いずれも必要な場合などで変わってきます。
詳しくは、ステンレス容器の温調方法をご覧ください。
加熱後に容器の蓋を閉めて保管していたら、蓋が開かなくなってしまった
容器内部の温度が蓋を閉めたときよりも冷えると、容器内が減圧状態となり蓋が開かなくなります。
このようなときの対処法については、蓋が開かない!ステンレス容器の蓋が開かないときの対処法をご覧ください。
ステンレス製品は滅菌できる?
ステンレス自体は滅菌できますが、ステンレス製品には滅菌できるものとできないものがあります。
詳しくは、ステンレス製品の滅菌で気になる3つのことをご覧ください。
加熱や溶解工程にお困りの方は、MONOVATEまでご相談ください
「加熱に時間がかかる」「溶けにくい」「粘度が高くて混ざりにくい」など、製薬・化学・化粧品・食品業界でよくある加熱や撹拌に関する課題は、容器や加熱方式の見直しで改善できるケースが多くあります。
MONOVATEでは、これまでに多くのオーダーメイド加熱容器や溶解・撹拌装置を提案・製作してきた実績があります。
現在の設備に関するちょっとしたお悩みでも、ぜひお気軽にご相談ください。お客様の用途に合わせて、最適な構造・材質・仕様をご提案します。
オーダーメイドの実績はこちら