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ステンレスタンクと相性の良いポンプを選ぶことは、液体や粉体のスムーズな移送や生産効率の向上に直結します。
食品業界をはじめ、化粧品や化学など多くの製造現場では、タンクの用途や中身の特性に合わせて適切なポンプを選定する必要があります。
このコラムでは、代表的なポンプの種類やそれぞれの特徴について解説します。また、MONOVATE製のステンレスタンクを例に、最適な組み合わせや採用事例をご紹介します。
なお、粉粒体の搬送に関しては、重労働からの解放!粉粒体搬送作業を自動化する粉粒体空気輸送機とはをご覧ください。
目次
ポンプとは
ポンプとは、圧力や遠心力などを利用して液体や気体などの流体を移動させる装置(機械)のことです。
ポンプと言うと、どんなものを思い浮かべますか?水をくみ上げるポンプ、設備へ液体を送るポンプなどでしょうか。ポンプは幅広い分野で使われていますが、その種類は大きく分けると下記の3つになります。
ここからは、この3つのポンプについてご紹介します。
容積型ポンプ
容積型ポンプとは、一定容積(空間内)の液体を圧力をかけて押し出す仕組みのポンプです。
容積型ポンプには以下のような特長があります。
- ポンプ内に液体が無くても自給できる。
- 一定の圧力と流量を供給できる。
- 連続に流すと脈動のある流れになる。
- 非容積型と比べて液送量が少ない。

容積型ポンプはさらに往復型ポンプと回転型ポンプに分けることができます。
往復型ポンプ
往復型ポンプとは、ピストンを動かし吸引・排出する仕組みのポンプです。ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプなどがあります。
ダイヤフラムポンプ
ダイヤフラムポンプとは、お椀状の弾性薄膜内へ液体を吸引、排出する仕組みのポンプです。
回転式ポンプの軸シール部や摺動部が無く、異物混入や液漏れが少ない特長があります。
シンプルな構成なため、メンテナンス性に優れています。(例)金魚ポンプ
ピストンポンプ
ピストンポンプとは、ピストン側に弁が付いている仕組みのポンプです。
プランジャーポンプ
プランジャーポンプとは、シリンダ(ピストンケース)側に弁が付いている仕組みのポンプです。
回転型ポンプ
回転型ポンプとは、回転子を動かし送り出す仕組みのポンプです。ギアポンプ、ロータリーポンプ、ベーンポンプなどがあります。
ギアポンプ、ロータリーポンプ
ギアポンプやロータリーポンプは、2対の回転子の空間内に液体が入り、送り出す仕組みのポンプです。
ギヤポンプのイメージ
ベーンポンプ
ベーンポンプとは、ケース(ケーシング)内の回転子に付いた多数の羽根(ベーン)の空間内に液体が入り、送り出す仕組みのポンプです。
非容積型ポンプ
非容積型ポンプとは、羽根の付いた回転子の遠心力で液体を送り出す仕組みのポンプです。
容積型ポンプには以下のような特長があります。
- 連続的に大量の液体を送る用途に最適。
- 容積式ポンプと比べ定量性が低い。
- 自吸能力が低く、呼び水が必要である。

非容積型は、吸い込んだ液体の吐出される方向で3種類に分けられます。
遠心ポンプ
遠心ポンプとは、軸方向から吸い込み、垂直に排出する仕組みのポンプです。
羽根車から吐き出される流れが、主軸に垂直な内面にあります。
一般的な非容積型ポンプで、渦巻きポンプともいわれ、様々な用途で使用されています。
例)水道・下水道の送水ポンプ/化学プラント用のプロセスポンプ
遠心ポンプのイメージ
斜流ポンプ
斜流ポンプとは、軸方向から吸い込み、横に排出する仕組みのポンプです。
羽根車より吐き出される流れが、主軸の中心線を軸とする円すい面内にあります。
渦巻き状のケーシングを有しています。
斜流ポンプのイメージ
軸流ポンプ
軸方向から吸い込み、後ろの軸方向に排出する仕組みのポンプです。
羽根車から吐き出される流れが、主軸と同心の円筒面内にあります。
軸流ポンプのイメージ
特殊型ポンプ
特殊型ポンプとは、容積型や非容積型以外のさまざまな仕組みのポンプです。噴射ポンプ、気泡ポンプ、水撃ポンプ、サニタリーポンプなどがあります。
噴射ポンプ(エジェクタポンプ)
噴射ポンプとは、パイプに流体を吹き込み、他方から液体を吸い上げ排出する仕組みのポンプです。
内部に弁などの無いシンプルな構造です。
気泡ポンプ
気泡ポンプとは、パイプ内に気体を吹き込んで、気泡の浮上により液体をくみ上げる仕組みのポンプです。
水撃ポンプ
水撃ポンプとは、パイプ内で液体を自由落下させ急に弁を閉め、水撃作用で最初より高い位置に液体をくみ上げる仕組みのポンプです。
位置エネルギーと水撃のエネルギーだけ液体を排出します。
サニタリーポンプ
サニタリーポンプとは、主にステンレス製で分解洗浄ができる衛生的なポンプです。
ステンレスタンクと相性の良いポンプとは?
ここまで、容積型ポンプ・非容積型ポンプ・特殊型ポンプをご紹介しました。
この3つのポンプの中でステンレスタンクと最も一緒に使われているポンプは、容積型ポンプです。
ステンレスタンクと容積型ポンプの相性が良い理由
容積型ポンプが採用されている理由として以下の3つがあります。
- ・構造が簡単でメンテナンス性が良い
- ・回転数の制御により流量調整がしやすい
- ・超小型から大型まで種類が豊富
ポンプは取り扱いしやすいだけでなく、用途に合ったものを選定することも大切です。
また、ポンプに接続するステンレスタンク自体も内容物やポンプに合わせて設計・製作し、最適な作業環境を作ることが、製品の品質向上や作業効率の向上につながります。
ここからは、ステンレスタンクの選定ポイントについてご紹介します。
ポンプと相性の良いステンレスタンクとは?
以下の3つが、ポンプと組み合わせやすいステンレスタンクの特長です。
ポンプや排出方向へ内容物が流れる構造
タンク内に液残りが生じにくい構造
ポンプと接続しやすい排出口形状
MONOVATEのステンレスタンク(ステンレス容器)を例にご説明します。
1.下部排出のステンレスタンク
ポンプとの接続には、鏡板型やホッパー型と呼ばれる、容器底部に排出口が設置されているステンレスタンクがおすすめです。
鏡板型容器の例
鏡板型容器のラインナップを見る
ホッパー型容器の例
ホッパー型容器のラインナップを見る
MONOVATEの下部排出タイプのステンレスタンクは、
- ・底がお椀形状やホッパー形状で底の中央に排出口があり、内容物がスムーズに排出できる
- ・排出口には段差や隙間がなく、スムーズに排出できる
- ・排出口の下にスペースがあり、容器の真下にポンプを設置することができる
という特長があり、ポンプとの接続を考慮したご提案が可能です。
2.横排出のステンレスタンク
横へと配管を繋げたい場合には、片テーパー型と呼ばれる、容器側面の下部に排出口が設置されているステンレスタンクもおすすめです。
MONOVATEの横排出タイプのステンレスタンクは、
- ・排出口に向かって底が傾斜しているため、内容物がスムーズに排出できる
- ・排出口には段差や隙間がなく、底の傾斜があることによりスムーズに排出できる
- ・配管やポンプを横方向へストレートに接続できる
- ・容器や配管の高さを低く抑えることもできる
という特長があり、横排出であってもポンプとの接続を考慮した最適なご提案が可能です。
片テーパ型容器の形状については、進化したステンレス容器「片テーパー型容器」でも詳しくご紹介しています。
ポンプとステンレスタンクの組み合わせ製品・オーダーメイド製作事例
ここでは、ポンプがセットになった製品や、オーダーメイド事例をご紹介します。そのほかの実績につきましては、気軽にお問い合わせください。
ステンレス容器ポンプユニット【製品】

ポンプユニットは、ステンレス容器、撹拌機、移送ポンプがセットになった製品です。
制御盤で撹拌機とポンプの作動をまとめてコントロールできます。
原料を調合後、直接次工程まで移動し、調合液を移すことができます。
ミキシングユニット【製品】

ミキシングユニットは、液体と粉体の均一混合に特化したステンレス製の撹拌装置です。
ポンプの液流により生まれる負圧で粉体をホッパーから配管へ引き込み、液体と予備混合。粉体のダマ形成や液面への浮遊を防ぎ、均一に分散するまでの混合時間を短縮します。
400L食用油一時受け容器【オーダーメイド事例】

循環温調器ユニット【オーダーメイド事例】

温水循環システムによる安定した温度管理を実現した撹拌温調ユニットです。
ヒーターで加温した温水を2台のジャケットタンク内にポンプで循環させることにより、タンク内の液体や粉体を均一で安定した温度に保ちます。
溶解・脱泡用撹拌加圧ユニット【オーダーメイド事例】

粉体と液体を溶解・脱泡し他の機器へ圧送するために使用する、ステンレス圧力容器ユニットです。
ステンレス圧力容器にマグネット式撹拌機・恒温水循環装置・真空ポンプなどの周辺機器を組み合わせています。
真空ポンプとは、タンク内の気体を排出して真空状態にするポンプのことです。
ポンプの選定も、ステンレスタンクの特注製作も一緒にお任せください!
MONOVATEでは、ポンプ等の周辺機器の選定も含んだ撹拌装置一式でのご提案ができます。
また、お客さまがお使いのポンプや周辺機器、設備に合わせたステンレスタンクの設計・製作も承ります。
お客さまの工場に訪問し、現状確認やお打ち合わせを実施することもできますので、まずは気軽にご相談ください。