機械や設備、部品などを陰ながら支えているガスケットとパッキン・・・。
この2つの違いとは何か?
よく使用される材質とその特性もあわせて解説します!
シールとは
シールとは、内容物の漏出防止や内部への異物の侵入を防止する部品(素材)のことです。
MONOVATE製のステンレス容器をはじめ、機械や配管、設備の接続部など幅広い分野で使用されています。
普段目にすることがあまりない部品ですが、自動車や家庭の機器や蛇口など、実はとても身近なところで活躍しています。
シールの種類
シール部品の中でよく使われているのが、
- ・ガスケット
- ・パッキン
- ・Oリング(オーリング)
などと呼ばれるものです。
しかし、同じ部品でも「ガスケット」と「パッキン」の2つの呼び方をする場合があります。
なぜ呼び方が違うのか?と疑問を持つ方もいるかと思いますが、実はこの分類分けにはちゃんとした理由があります。
ガスケット…固定用シール
ガスケットはシールの中でも部品や配管などの接続部(静止部分)の密封に使用されるもので、接続部に合わせた様々な形状・厚み・材質があります。
ガスケットを接続部の間に挟めてボルト等で固定し、接続部の隙間を塞ぐことで内部を通る流体の漏出や異物混入を防止します。
漏出やガスケットの劣化を防ぐためには、使用環境や流体の性質と相性の良いガスケットを選定する必要があります。

フランジ用ガスケットの例

接続部の間に挟みシールします

フランジの例
その他のガスケット
シールテープ

シールテープは、「シール用四ふっ化エチレン樹脂未焼成テープ」とも呼ばれ、白色で薄いテープ状のガスケットです。
ネジやバルブを取り付ける際、ネジ山などに巻き付けて取り付け(ねじ込み)します。
材質は耐熱性・耐薬品性に優れたPTFEです。
液状ガスケット

液状ガスケットは、液体状なので一般的な固形のガスケットに比べ、厚みの計算などが不要です。
塗布面の状態や液の性質など、使用環境に最適な材質を選定します。
パッキン…運動用シール
※当社では、当社製ステンレスタンクに使用されているものをパッキンと呼んでいます。
パッキンはシールの中でも繰り返し着脱したり、回転や往復運動などの部分の密閉に使用されるもので、装着部分や目的に応じて非常に様々な種類があります。
パッキンの中でも運動部分と接している場合は接触シールと呼ばれ、機械部品のオイルシールやポンプ部品のグランドパッキンなども接触シールに分類されます。
ステンレス容器へのパッキン取り付け例
クリップ式密閉容器では、パッキンを容器と蓋の間に設置して使用します(A型パッキンの場合)。
パッキンは色付きがおすすめ
ステンレス容器用パッキンの場合、カラーパッキンのご提案ができます。
色のついたパッキンにすることで、3つのメリットがあります。

- 混入対策になる
万が一内容物などにパッキン片が混入しても、色付きなので発見しやすくなります。 - 内容物の管理ができる
内容物の種類や時期などに応じて、パッキンの色を変えて識別することができます。 - 専用パッキンとして使える
においの強いものには特定の色のパッキンを使うなど、移香対策としても活用できます。
Oリング…ガスケットにもパッキンにもなるシール
Oリング(オーリング)は主に部品などの溝に設置します。
断面は円形で、気圧や水圧などの圧力を利用して流体をシールする自封作用が特長です。
Oリングは固定用と運動用のどちらでも使用されており、ステンレス容器では圧力容器などに取り付けています。一般的な蛇口にも使われているので、蛇口が水漏れしているときにOリングを交換したことのある方もいるかもしれません。
材質はNBR(ニトリルゴム)が最も一般的ですが、使用環境や流体に合った最適な材質を選定します。


上:Oリング例 下:断面図

圧力容器の例

Oリングの仕組み
1. 溝にOリングをセットする

2. Oリングの反発力で内側にある流体がシールされる

3. 流体の圧力でOリングが溝に押し付けられ、よりシールされる

シールの材質
シール部品として使用されている材質(ゴムや樹脂)を紹介します。
扱う薬品に適したシール材質を選びたい方は、「この薬品ってどうやって保管できるの?~薬品に最適なパッキン~」をご覧ください。
シリコーンゴム|Silicone rubber(当社名:シリコン)

シリコーン樹脂のゴム状のもので、半透明なため様々な着色が可能です。
シール材以外にも防振ゴムや製菓用などの型、電気絶縁用や人工心肺膜などの幅広い分野で使用されており、私たちのとても身近にあるゴム材です。
特性:耐候性や耐老化性、高い耐寒性
フッ素ゴム(FKM)|Fluorocarbon rubber

フッ素含有のオレフィンを重合して作られる合成樹脂です。
ロケット等のパッキンやポンプ部品、チューブやホースにも使用されています。
特性:最も高い耐熱性を持つなど物理的性質に対して優れている
クロロプレンゴム(CR)|Polychloroprene rubber

クロロプレンの重合により作られる合成ゴムです。
天然ゴムに比べ耐候性や耐油性、耐薬品性に優れており、加工が容易なため、ウェットスーツやベルトコンベヤーにも使用されています。
特性:物理的性質や耐薬品性など平均した性質
ニトリルゴム(NBR)|Nitrile butadiene rubber

合成ゴムの1つで引っ張り強度や耐摩耗性に優れています。
自動車をはじめとする工業用品やゴム手袋にも使用されています。
特性:耐薬品性や耐摩耗性、耐老化性
EPDM|Ethylene propylen diene rubber

合成ゴムの1つで、特に耐オゾン性、電気の絶縁性に優れています。
電線などの絶縁材料をはじめ、公園の遊具や地面などにも使用されています。
特性:耐オゾン性、極性液体に対する抵抗性や電気的性質、耐候性
PTFE|Polytetrafluoroethylene plastics

フッ素原子と炭素原子のみのフッ素樹脂で化学的に安定しています。
耐薬品性に優れ、また最も摩擦が少ない(すべりやすい)物質で、工業用品、フライパンのフッ素コート、東京ドームやスタジアムの屋根にも使用されています。
成型は溶解での成型ができないため、粉末を圧縮・加温して成型します。
特性:非粘着性、非濡性、耐熱性、耐薬品性など他の材質より優れている
その他
導電性シリコーンゴム
シリコーンに導電性材料を配合した合成ゴム。他の導電ゴムに比べ耐候性や耐熱性、耐寒性などに優れており、よりクリーン性を求められる分野にも使用できます。
その他の材質
導電性フッ素ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、天然ゴムなどがあります。
各パッキン材質の特性をより詳しく知るために
各パッキンの特性をより詳しく知りたいという方は、「密閉に欠かせないパッキンの材質と特性」の記事もおすすめです。こちらの記事では、各素材の長所と短所についてご説明しています。
シール材質の選定方法
シール材質の選定を誤ると本来のシールの役割を果たせなくなるだけでなく、早期劣化したり、異物混入の原因になる恐れがありますので、使用環境や接触する物質に適した材質を選ぶことが重要です。
また、使用場所によっては食品衛生法適合などの適合材質である必要があります。
特性で選ぶ
材質の持つ特性から選定します。物理的性質、耐油性、耐溶剤性、耐薬品性など様々な特性から最適な材質を選定します。
テストして選ぶ
シール部品の耐性や薬品などでの影響の有無を確かめたい場合はサンプルなどでテストをします。
テスト例
- ・接触する薬品のサンプルに、シール部品を浸す
- ・同じ使用環境を再現する etc・・・
シール部品の選定ポイント|まとめ
- ・目的に合った最適な形状か(標準仕様の製品を使用する /特注製作する)
- ・接触する物質と相性が良い材質か(耐薬品性など)
- ・使用環境に適している材質か
ステンレス容器に最適なシール部品をご提案いたします
「どの材質が一番適しているのか分からない」「容器と一緒に選定してほしい」などの疑問やご要望、製品の仕様確認、製作可否、見積依頼など、気軽にお問い合わせください!