「識別管理」は、製造現場における品質管理の中でも重要な要素のひとつです。
工場内では、原料の管理や工程ごとのトレーサビリティ確保など、さまざまな場面で識別管理がおこなわれています。
製品や環境によって管理方法は異なりますが、それぞれの現場に合った最適な識別手法を選ぶことが求められます。
本コラムでは、原料の保管・生産ライン・設備組み込みなど、多様な工程で活用されているステンレス容器(ステンレス製品)における5つの識別管理の方法についてご紹介します。
目次
1. レーザーマーキングによる識別
レーザーマーキングは、最もサニタリー性が求められる製薬業界をはじめ、化粧品・食品の工場などのさまざまな場面で識別管理に採用されています。
MONOVATEでは、ステンレス製品の識別管理方法としてレーザーマーキングを推奨しております。
ステンレス容器のマーキング方法とは?
レーザーマーキングとは
レーザーマーキングとは、レーザー光による熱で製品表面を直接加工し、文字や記号を印字する方法です。ラベルやインクを使わないため、印字内容は洗浄や滅菌をしても消えることがありません。
印字面に凹凸ができないため、汚れや洗浄液がたまりにくく、医薬品・食品・化学業界など衛生管理が求められる現場でも安心して使用できます。
また、シールやインクのように剥がれる心配がないため、異物混入のリスクも低減できます。さらに機械によるマーキングは均一な仕上がりを実現でき、大量ロットの印字にも安定して対応可能です。
レーザーマーキング事例:QRコードやバーコードの印字

レーザーマーキングで印字すると…
- 直接印字するので消えず、書き換えされない。
- 剥がれるものがないので異物混入防止になる。
- 表面に凹凸がなく汚れが溜まらない。
ステンレス容器の表面に、ユーザー様が指定するQRコードやバーコードをレーザーマーキングで直接印字することが可能です。
QRコードやバーコードは、ICチップなどに比べて導入コストが低く、読み取り機器も普及しています。そのため、生産管理における工程ごとの進捗管理や内容物の識別、ヒューマンエラーの防止など、多くの工場で採用されています。
特にQRコードは、バーコードに比べて情報量が多く、トレーサビリティシステムとの連携にも適しており、食品・医薬品など高い管理レベルが求められる現場での導入も進んでいます。
マーキング事例:製品名や社名、番号などを印字


製品名・内容物の名称・容器の管理番号などを容器に直接印字することで、識別管理がおこなえます。
レーザーマーキングでは、ユーザー様の任意の文字や画像も印字できます。たとえばお客様の社名や企業ロゴを印字することで、他社容器との混同を防止できます。
MONOVATEでは、蓋や付帯部品へのマーキングなど、ステンレス容器以外の製品にも対応可能です。お客様のご希望に合わせた印字のデザインや大きさ、位置をご提案いたします。
2. ラベルによる識別
ラベルによる識別管理は、ラベルプリンターなどでバーコードや管理番号、品名などを印字し、容器や設備に貼り付けて識別する方法です。
作成が簡単でコストも抑えられるため、工場だけでなく店舗や一般家庭でも広く普及しています。
一方で、ラベルは容易に貼り替えや書き換えが可能なため、誤表示や意図しない改変のリスクもあります。
また、ラベルが剥がれたり破れたりすることで異物混入の原因となる可能性があるほか、角や端に汚れが溜まりやすく、サニタリー性が求められる現場には適していません。
3. ICチップによる識別
ICチップによる識別管理は、非接触で情報を読み取れる技術として、各種カードや回転寿司の皿の鮮度管理など、さまざまな場面で活用されています。
バーコードに比べて格納できる情報量が多く、無線通信により読み取り機器をかざす必要がないため、効率的な管理が可能です。
ステンレス容器にICチップを取り付ける際には、金属対応のメタルタグや接着による固定などの方法があります。
ただし、バーコード方式に比べて初期投資が必要なほか、異物混入やサニタリー性への配慮も求められます。また、使用環境によっては滅菌対応のICチップを選定する必要があるなど、用途に応じた仕様の検討が不可欠です。
4. タグによる識別
タグによる識別管理は、配線の識別や袋の封かんなど、さまざまな現場で活用されている方法です。
タグの形状や色を使い分けたり、名称や管理番号を記入することで、内容物や用途ごとに識別できます。
プラスチック製・紙製のほか、ステンレス製などの金属タグもあり、使用環境に応じて材質を選択できる点が特長です。
ステンレス容器にタグを取り付ける際には、結束バンド型などで簡単に装着できますが、取り付け状況によってはタグの一部が破損し、異物混入の原因となるリスクもあるため注意が必要です。
5. 色による識別(色別)
色による識別管理は、赤は警告、黄色は注意など、色ごとに意味を持たせて物品や工程を識別する方法です。
ステンレス容器では、内容物や使用工程、部門ごとの区別などに対応するため、パッキンに色をつけた カラーパッキン付密閉容器をご用意しています。
また、当社の製品ラインナップには含まれていませんが、「カラーステンレス」と呼ばれるステンレス表面処理も、視覚的な識別手段として一部の現場で活用されています。
カラーステンレスの例

カラーステンレスとは、反射の原理を利用してステンレスが着色されているように見せる表面処理方法です。塗装や染色ではないので安全ですが、カラーパッキンに比べて高価です。
ステンレス容器の識別管理には「レーザーマーキング」がおすすめ!
識別管理の方法は、GMPやISOのような品質基準への準拠、あるいはバリデーション取得時にも重要な要素となります。管理手段の選定だけでなく、記録性や再現性といった観点も踏まえて検討することが求められます。
レーザーマーキングによる印字は、「印字が消えない・汚れが溜まらない・異物混入の原因にならない」などの特長があり、ステンレス容器の識別管理に最適です。
マーキングをご検討中の方はステンレス容器のマーキング方法とは?でもマーキングについてご紹介していますので、あわせてご覧ください。
MONOVATE製ステンレス製品へのレーザーマーキングを1品からオーダーメイドで承っております。気軽にお問い合わせください!