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粉を容器から排出する際に問題となりがちな「粉詰まり」。
排出に時間がかかったり、排出が止まるなどで製品品質のムラにつながることもあります。
そもそもなぜ粉の出が悪くなる(詰まる)のでしょうか。
※この記事は一般的な参考データであり、使用条件や環境により変わることがあります。弊社では使用環境や内容物、コスト面などからお客様に応じて最適な仕様をご提案いたします。
主な原因は粉の圧力と摩擦!
容器に入れた粉体の圧力(粉体圧)やそこから生じる摩擦により、粉が滑りにくくなり排出を妨げられます。
粉体の流動性を左右する要因については、こちらのコラムをご覧ください。
理想的な排出の状態:マスフロー
粉がスムーズに排出されている状態のことをマスフローと呼びます。
部分的に排出されている状態:ファネルフロー
粉の圧力と側面の摩擦により粉が固まってしまい、排出口の上部だけが流動している状態をファネルフロー、ファネルフローが進み排出が止まった状態をラットホールと呼びます。
このように粉が残留してしまう状態では粉の状態にムラが生じたり、品質が変わる恐れがあります。
詰まって排出されない状態:ブリッジ
粉の圧力などで排出口の上部がアーチ状に閉塞してしまい、排出が止まっている状態のことをブリッジと呼びます。
ブリッジは排出口の上部に形成されるため、粉が排出されなくなります。
このように、粉の排出時にはラットホール(ファネルフロー)やブリッジが起こらないようにすることが粉のスムーズな排出に繋がりますが、容器の形状や粉の種類などによって生じやすさは様々です。
また、ラットホールやブリッジが生じてしまった際には速やかに解消できるような対策が必要です。
では、どのような対策があるのでしょうか。
1.粉の排出に適した容器を使う
粉を貯蔵・排出するにはホッパー容器が多く使われます。
排出口のサイズや容器の仕様を変えて、粉の排出に適した容器を使うことが重要です。
1-1.排出口径を大きくする
排出口の径を大きくして、粉詰まりを防ぎます。
1-2.ホッパー角度の変更
鋭角にすることで、粉が滑りやすくなり排出されやすくなります。
1-3.偏心にする
偏心にすることで、通常のホッパーに比べて粉が滑りやすくなります。
> 偏心投入ホッパー
1-4.フッ素樹脂コーティングをする
容器内面にフッ素樹脂コーティングを施すことで、滑り性を良くします。
静電気によって容器に粉が付きやすい場合は、帯電防止のコーティングもあります。
2.ブリッジブレーカーを使用する
ラットホールやブリッジを予防・解消する方法として、容器に振動を与える方法や、容器内に空気を送り込む方法などがあります。
これらは一般的にブリッジブレーカー(アーチブレーカー/ラットホールブレーカー)と呼ばれています。
2-1.振動で粉の詰まりを無くす
タンクに振動を与えることで、ラットホールやブリッジを解消する方法です。
容器を叩く
手やハンマー等で容器を叩いて振動を与え、ラットホールやブリッジを解消します。最も手軽な方法ですが作業者の負担が大きく、容器の変形・破損の原因にもなります。
バイブレータ
タンクを振動させ、ラットホールやブリッジの予防や解消ができます。 取付方法はタンクの内面や外面、排出口など種類により様々です。
ノッカー
ホッパーの外側からタンクに強い衝撃を与え、できてしまったラットホールやブリッジを解消します。
バイブレータとノッカーの違い
バイブレータ:継続型
振動を継続して与えることで粉詰まりを予防・解消します。
ノッカー:一撃型
粉詰まりが起きた時に衝撃を1回~数回与えて粉詰まりを解消します。
2-2.エアーで粉の詰まりを無くす
タンク内にエアー(空気)を送り込み、ラットホールやブリッジを解消する方法です。
エアレーター
タンク内部にエアーやガスを送り込むことで、ラットホールやブリッジを解消します。
エアレーションホッパー
こちらもタンク内部にエアーを送り込んで詰まりを解消する原理ですが、エアレーターとの違いは粉詰まりに対しより強力に作用することです。
一箇所からエアーが吹き出すエアレーターに対し、エアレーションホッパーは全方位から空気が吹き出し粉体を流動化するため、より多くの粉体に対し有効な手段です。
2-3.振動とエアーを組み合わせて粉の詰まりを無くす
振動とエアーを使ってラットホールやブリッジを解消する方法です。
ブローディスク
タンク内に取り付けてエアーと共に振動も起こすことで、ラットホールやブリッジを解消します。
2-4.ツメでブリッジを無くす
ブリッジが生じたときに動かすことでブリッジを解消させる方法です。
ブリッジブレーカー・ブレイクロッド
ハンドルを回すと、ホッパー内に設置した「軸(ロッド)」及び「ツメ」が回転し、粉体の詰まり(ブリッジ/閉塞)を解消します。
ステンレスホッパーの製作時に加工するオプション加工品です。
3.併用する
粉の排出に適したホッパーとブリッジブレーカーを併用するなど、複数の対策を実施することでより効果的となる場合があります。
対策例
- ホッパー角度を鋭角にし、排出口径を大きくする。
- ホッパーを偏心にして、ブリッジブレーカーを設置する。
MONOVATEではステンレスホッパーの製作だけでなく、ブリッジブレーカー等の周辺機器の選定も一緒に行っておりますので、ご検討中でしたら気軽にお問い合わせください。