実験・デモレポート

沈む・浮く・分離する…色んな原料が入った調味液800Lの撹拌テスト

2026/04/09 00:00

食品メーカー様から調味液の混合のご相談をいただき、実機テストを実施しました。
材料には「沈むすりおろし野菜」「液面に浮くゴマ」「分離する油」と、撹拌の難しい条件が勢ぞろいです。その過程をご紹介します。

お客様の課題

今回のご相談をいただいたのは、食品メーカーの設備担当者の方です。

現在は撹拌機とタンクが一体になった撹拌装置を使用されていますが、この構成では生産量が増えるほど装置の台数もそのまま増えていきます。

そこで検討されていたのが、撹拌機1台に対して複数のタンクを運用するという構成です。タンクを順番に撹拌機のもとに持ち込む運用が実現できれば、より効率的で、メンテナンスのコストを抑えた生産体制をつくることができます。この新しい運用体制を実現するため、MONOVATEへ「撹拌機」と「タンク」をセットでご相談いただきました。

ただし、この構想を進めるには最初に確かめるべきことがありました。今使っている撹拌装置に近い撹拌がMONOVATEの撹拌機でも実現できるかという点です。その検証が、今回のテストの出発点でした。

テストの概要

800Lスケールでの撹拌テストの様子。透明タンクで内部の流動を可視化しながら条件を詰めた。
800Lスケールでの撹拌テストの様子。透明タンクで内部の流動を可視化しながら条件を詰めた。

テストは以下の構成で実施しました。

  • タンク:大型透明タンク
  • 撹拌機:ベルヌーイ流撹拌機
  • 補助装置:バッフル

撹拌するのは、800L程度の水に以下の原料を加えたものです。。

  • すりおろし野菜(沈みやすく、底に溜まりやすい)
  • ゴマ(液面に浮いてしまい、液中に取り込みづらい)
  • 油(均一に分散させる必要がある)

物性が異なるため、1台の撹拌機でそれぞれに対し適切な撹拌ができるかが今回のポイントでした。

ベルヌーイ流撹拌機 BEAG
ベルヌーイ流撹拌機(BEAG)とは
特殊な羽根の形状により、タンクの底から吸い上げる液流を発生させる撹拌機です。一般的な撹拌機と異なり、底部の沈殿物を効果的に巻き上げることができます。今回のテストで使用したのは、現在開発中の大型タンク対応バージョンです。
ベルヌーイ流撹拌機の詳細はこちら

テスト①:すりおろし野菜

まずはすりおろし野菜からです。これは水に沈むため、タンクの底部まで吸い上げる液流を起こせるかがポイントでした。

結果:バッフルを使わず、ベルヌーイ流攪拌機のみで底への堆積なく均一に分散できることを確認しました。この撹拌機が持つ吸い上げの液流が十分に発揮され、シンプルな構成でも沈む原料への対応が成立することを確認できました。

Before 撹拌前。すりおろし野菜がタンク底部に堆積している状態。
撹拌前。
野菜が底に沈み、色が薄い状態。
After 条件調整後。すりおろし野菜が液中に均一に分散し、底への沈殿がなくなった状態。
撹拌後。
底への沈殿がなくなり全体的に色が濃くなった。

テスト②:ごま

3種の原料の中で、最も条件調整に時間を要したのがごまです。
比重が軽く液面に浮いてしまうため、装置側でできることを一通り試しましたが、なかなか解消しきれませんでした。

  • すりおろし野菜と同じ位置・条件で撹拌 → ごまが液面に浮いたまま取り込まれない
  • 羽根の位置を上げる → 改善するが、解消しきれず
  • バッフル(邪魔板)を設置 → さらに改善するが、解消しきれず

転機になったのは、お客様からの「液側の粘度を調整すればごまが浮きにくくなるのでは」というご提案です。
これを受け、液に若干のとろみをつけた状態で再テスト。ごまが浮上しにくくなり、目視範囲で均一分散が成立することを確認しました。装置側の調整だけでなく、お客様が液の条件を融通してくれたことで見えた解決策です。

Before 粘度調整前。ごまが液面にとどまり、液中に取り込まれない状態。
とろみ調整前。ごまが液面に浮いている状態。
After 粘度調整後。ごまが液中に均一に取り込まれた状態。
とろみ調整後。ごまが液中に均一に取り込まれた状態。

テスト③:油

最後に油を投入し撹拌しました。

こちらはベルヌーイ撹拌機とバッフル(邪魔板)の組み合わせで、目視による油分の均一な分散を確認しました。

Before 撹拌前。油分が液面に浮いて分離している状態。
撹拌前。油分が液面に分離している状態。
After 撹拌後。油分が液中に均一に分散した状態。
撹拌後。油分が均一に分散した状態。

3種のテストから見えたこと

今回のテストで見えてきたのは、「原料の挙動に合わせた撹拌条件の設定」の重要性です。

  • 沈む原料には:ベルヌーイ流撹拌機の吸い上げ液流が有効。バッフルがなくとも十分な効果を確認
  • 浮く原料には:装置調整に加え、液側の粘度条件も撹拌成立を左右する要素になる
  • 分散(油)には:バッフルとの組み合わせで撹拌の流れを整える

800Lという規模と、複雑な条件の中でも、適切に設計すれば撹拌は成立するという方向性が見えました。詳細な成分解析結果はお客様側で確認中ですが、今回のテストで実現に向けた手応えを共有できています。

実機テストで設備検討を支援します

MONOVATEでは、実際の原料を持ち込んでのデモ・テストを受け付けています。今回のような「まだ答えが出ていない段階」でのご相談も歓迎です。

  • 800Lクラスの撹拌設備を検討している
  • 沈む・浮く原料の扱いに悩んでいる
  • 設備の前に、まず撹拌が成立するか確かめたい
  • 撹拌の省力化構想を検討している

「今までやったことのない条件だから、うまくいくかわからない」。
そういったご相談こそ、実機テストの出番です。
条件を一緒に探りながら、実現の可能性を確かめていきましょう。

まずはお気軽にご相談ください。

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