日中は人が関わる作業に集中し、夜間は設備を有効活用して前処理を進めたい。
一方で、抹茶のような微粉体は「付着」「詰まり」「排出不良」が不安になりやすい材料です。
今回は、夜間運転を想定した条件で、抹茶の搬送と排出が成立するかをデモで確認しました。
今回のテストのきっかけは、お客様から寄せられた「夜間に無人で抹茶を自動搬送したい」というご相談です。
どの業界でも、人手不足を背景に工程の機械化・省力化のニーズが高まっています。
夜間に前処理を済ませておき、日中は付加価値の高い作業に集中したい、というご要望もその一つです。
ただ、抹茶のような微粉体の無人搬送には、独特の不安がつきまといます。
- 搬送途中で粉が詰まっても、誰も気づけない
- ホッパーや設備への付着が著しく、翌朝の収量が足りない
- ホッパーで粉が固まり、翌朝バルブを開けても出てこない
今回の検証は「搬送編」と「排出編」の2回に分けてお伝えします。本記事は搬送編です。排出編はこちらからご覧いただけます。
抹茶の夜間搬送が成立するための3条件
実際の作業環境を100%再現することは難しいため、まずは「何がクリアできれば夜間無人搬送が成立するか」というポイントをお客様と一緒に整理しました。実機に近い条件を用意し、次の3点を中心に検証しました。
8kg/hで供給される抹茶を問題なく搬送できること。
ホッパーなど設備への付着を対策できる、もしくは許容量であること。
搬送完了した翌朝、ホッパーから詰まらず排出できること。(排出編で検証)
本記事では条件1・2にあたる、搬送と付着対策の検証結果をお伝えします。
搬送の安定性と付着対策
粉体搬送では一般に「時間あたりの搬送量」、つまり「どのくらい沢山運べるか」が重要な指標です。今回の場合、搬送量は8kg/hと、空気輸送機の性能として十分に達成できる水準です。
そのため論点は搬送量ではなく、長時間運転中に、搬送経路への付着によるロスが積み重なっていかないかでした。
搬送レイアウト
粉体の搬送には空気輸送機を使用しました。特殊な真空発生器により真空状態を作り出し、空気の力で抹茶を次工程に搬送します。
結果:搬送は問題なし。設備への付着はあるが対策可能。
搬送量は問題なくクリア。一方、供給元・排出先のホッパーや空気輸送機の内部に抹茶の付着が発生しました。処理量が少ない工程のため、付着によるロスの割合が相対的に大きくなりやすく、対策が必要と判断しました。
抹茶供給側ホッパーの付着
空気輸送機内の付着
そこで付着を抑える対策として、「gemini処理®」の有効性を確認しました。
gemini処理®(ジェミニ処理)とは、粉体付着を抑える効果があるに施すブラスト加工です。
金属の表面を細かく荒らす(凹凸をつける)ことで、粉体の付着を抑える効果があります。
金属表面を直接加工するため、コーティングと異なり表面が剥がれる心配はありません。
gemini処理®の効果はばつぐんで、ステンレスの標準的な表面処理(研磨状態)と比較して大幅に付着を抑制できることが確認できました。この結果を受け、工程内のホッパーと空気輸送機の内面にgemini処理®を施し、搬送経路への付着ロスに対応することになりました。
搬送編クリア。夜間無人運転の成否を決める「排出」へ。
搬送検証のまとめ
- 今回の条件(8kg/h相当)では搬送に問題なし
- ホッパーや空気輸送機の内部に抹茶が付着するため、表面処理で対策
搬送はクリアしました。しかし、夜間に搬送した抹茶が翌朝バルブを開けても出てこない──そのリスクへの対策が、排出編のテーマです。
