導入前の課題と製造工程
Q
この温調タンクでは、どのような製品を製造していますか?
この温調タンクでは、
糖衣錠のコーティング液
を主に製造しています。
製造工程の中でも、
温度管理が重要な工程
で使用している設備です。
▲温調タンク内での原料撹拌の様子
Q
導入前はどのように加温していて、どんな課題がありましたか?
導入前は、
ボイラーを使用してスチームをジャケット内に送り、
内容物を温めていました。
スチーム昇温そのものに
大きな問題があったわけではありませんが、
ボイラーの運用が正直大変
でした。
日々の
点検や予備稼働
が必要で、
エラーが出れば
ボイラー室まで行く手間
も発生していました。
Q
電気式温調タンクを検討し始めたきっかけは何でしたか?
工場全体を見ても、
ボイラーを使用している設備はすでに少なく、
「もうボイラーを使用するのをやめよう」
という
方針が決まっていました。
その流れの中で、
電気式で温調できるタンク
を探し始めたのがきっかけです。
設備選定の背景と仕様検討
Q
設備選定にあたって、特に重視した条件は何でしたか?
条件としては、
以前行っていたスチーム昇温と同じように運用できること
でした。
具体的には、
昇温時間がスチーム式と遜色なく
できることと、
内容物を90℃まで上げられること
が条件になっていました。
▲温調撹拌ユニット制御盤
Q
他社とも比較された中で、MONOVATEを選んだ理由は何でしたか?
他の会社さんにも相談しましたが、
「
80℃までなら上げられるが、90℃までは難しい
」
と言われることが多かったです。
投げ込み式ヒーター
を提案されたこともありましたが、
製薬用途のため、
原料に直接ヒーターが触れる方式はNG
でした。
その点、MONOVATEからは
「過去の知見から、工夫次第で90℃までいける可能性がある」
と言っていただき、
導入前テストで「まずは実力を確かめましょう」
という前向きな提案に進みました。
※昇温90℃対応は要相談
▲内容物に直接触れず、ジャケット内の水を温めるフランジヒーター
▲温調タンクのジャケット構造イメージ
▲タンク底部までジャケット構造とした温調設計
導入前テストと判断プロセス
Q
導入前テストでは、不安はありませんでしたか?
正直、導入前テストでは
「昇温スピードが少し遅いかな」
という印象があり、
不安を感じた
のを覚えています。
ただ、その結果を受けて 「断熱構造の追加」と「ヒーター出力のアップ」 という具体的な改善案を提示してもらえました。 テストで出た課題に対して、納得できる対策が見えた ことが、最終的な導入の決断に繋がりました。
▲タンク内電解研磨仕様
導入後に得られた効果
Q
実際に導入してみて、どのような効果がありましたか?
実際に使ってみると、
思っていたよりスチーム昇温と遜色なく、
正直安心しました。
導入前テストで使っていた
フランジヒーターは7.5 kW
でしたが、
実機では
10 kWにパワーアップ
したのが効いていると思います。
断熱用のジャケットをもう一層設けた構造
により、
洗浄しやすい仕様
になっています。
実際にタンク外面を触ってみても、
少し温いと感じる程度で火傷の心配もありません。
▲温調タンクを使用した製造風景
▲タンク外面も水洗い可能
現場での工夫と運用評価
Q
現場で工夫している点や、運用面で気を付けていることはありますか?
蒸気が室内に漏れ出ないよう、
タンク下のバケツに水を張り、ホースを沈めて蒸気を逃がしています。
さらに、
気圧の原理(負圧)
をうまく利用しています。ヒーターをOFFにすると、ジャケット内の蒸気が冷えて凝縮し、内部の気圧が下がります。すると
バケツの水が自動的にジャケット内へ吸い込まれる
ため、特別な給水作業をしなくても
ジャケット内の水量を維持し、ヒーターの空焚きを防止
できています。
▲物理現象(負圧)を利用した自動給水。
蒸気対策とヒーターの空焚き防止を両立。
Q
改善したい点や、今後の要望はありますか?
改善したい点としては、タンク上蓋のパッキンが外れやすい点が最近の悩みでした。
ただ、相談したところ
すぐに現場を確認していただき、別仕様のパッキンを提案
してもらえることになりました。
また最近では、
タンクを別の場所へ移動させるために、制御盤との配線を延長したい
という相談もさせていただいています。
このように
「納品して終わり」ではなく、稼働後の細かな困りごとにも並走してくれる
ので、非常に助かっています。
▲上蓋パッキン
Q
納入から約1年使ってみて、全体としての評価はいかがですか?
最初からすべてが完璧だったわけではありませんが、テスト結果を基に ヒーター出力や断熱を最適化したことで、製薬現場として納得のいく設備 になりました。
約1年使ってみて、 「この1台で工程が完結し、運用がシンプルになった」
ことを実感しています。ボイラー廃止という大きな転換において、非常にいい選択だったと感じています。
実は、万が一に備えて予備のヒーターも準備しています。医薬品メーカーとして「供給を絶対に止めない」というのは大前提ですから。