醸造室に並ぶクラフトビール設備一式

直火で仕込むクラフトビール
設備一式を日本製で揃えた理由

動いている醸造所も、作っている工場も見学。
確かめたうえで国内メーカーに決めた

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課題
・造り方に合う設備がない: 直火で少量から仕込める設備が国内にない。
・海外製は要望が伝わらない: 日本語が通じず、仕様の相談ができない懸念。
・海外製の修理リスク: 使う前から溶接不良、修理に数十万。
改善策
・国内メーカーで一式導入: ホットリカーから発酵・チラーまで一式で。
・稼働中の設備を確認: 同型を使う醸造所へ同行し、実物を見て決定。
・環境に合わせた提案: 岩沼の冬に備え、温冷両対応のチラーを採用。
効果
・醸造体制を構築: 仕込みから発酵まで完結し、常時4タップを提供。
・手をかける造りが実現: 少量から仕込め、火加減を見て自分で判断できる。
・買った後も相談できる: 使い始めてから出た調整も一緒に検討できる。
岩沼クラフトビア工房 様
宮城県岩沼市のクラフトビール醸造所兼タップルーム。
地元の人たちの舌に合うビールを掲げ、醸造から提供までを2人で手がけています。
岩沼クラフトビア工房 代表 川下様と水戸様
▲代表の川下様(右)と水戸様にお話を伺いました

造っているビールと、導入した設備

Q どんなビールを造られているのですか?
造っているのは、メイン3種類と季節(期間)限定のビールです。季節限定のビールには、ゲストビールとして他のブルワリーさんのものを繋ぐこともあり、常時4タップで提供しています。

目指しているのは、この街の人たちの舌に合う、毎日でも飲みたくなるビールです。
常時4タップで提供されるクラフトビール
▲常時4タップ。季節限定のビールも仕込んでいる
発酵タンクまわりの作業
▲醸造から提供まで、2人で手がけている
Q ビールができるまでの工程と、導入された設備を教えてください。
仕込みは、ホットリカータンクでお湯を用意し、糖化タンクで麦芽から麦汁を作り、煮沸タンクでホップを入れて煮沸します。 そのあと熱交換器で一気に冷まして発酵タンクへ移し、酵母を入れて発酵させます。

この流れが、今回入れていただいた設備でひと通り完結します。
導入した設備一式(MONOVATEより一括導入)
  • ホットリカータンク(仕込み用のお湯を沸かして貯めておくタンク)
  • 糖化タンク(麦芽を糖化させて麦汁を作る)
  • 煮沸タンク(麦汁にホップを入れて煮沸する)
  • ポンプ
  • 熱交換器(プレート式。煮沸後の麦汁を冷やす)
  • 発酵タンク 3台(コニカルタンク)
  • チラー(冷却水循環装置。温めと冷やしの両方に対応)
※タンクは300L。発酵タンクは3台で回しています。
ホットリカータンク・糖化タンク・煮沸タンク
▲ホットリカータンク・糖化タンク・煮沸タンク
コニカル発酵タンク3台と温冷両対応のチラー
▲発酵タンク3台と、温冷両対応のチラー

直火式という選択

Q 直火式ならではの良さは、どういうところにありますか?
火加減を見ながら「今このタイミングだ」と自分で手をかけていきます。やっていてやりがいがありますし、人間味があるんですよ。 そんなところが直火式の魅力ではないでしょうか。

正直、部屋はとにかく暑いですし(夏場は40℃を超えます)、熱効率もボイラーには劣ります。それでも自分たちで手をかけて造れる方を選びました。少量からでも仕込めますし、ボイラー設備も必要ありませんのでね。
直火式のタンク
▲ホットリカー・糖化・煮沸の3タンクはいずれも直火式。
ボイラーの蒸気ではなく、直接火で炊く

MONOVATEとの出会いと、導入までの流れ

Q MONOVATEを知ったきっかけを教えてください。
ウェブで探していて、クラフトビール用のタンクを一式で手がけているメーカーとして見つけたのが、MONOVATEさんでした。それで問い合わせフォームからご連絡しました。

すると「広島の横川ブルワリーさんに、同じサイズ・同じ方式のものが入っていますよ」と教えていただきました。カタログや図面だけで判断するのではなく、実際に使っている醸造所を見られるというのは、ありがたい話でした。
Q そこから導入まで、どのように進めていったのですか?
実際に、MONOVATEさんにその横川ブルワリーさんまでご一緒いただきました。動いている設備を見させていただき、ご説明もいただいて、 うちがやりたい造り方とほとんど同じでしたので、「これならこのままでいけるな」と思えました。

そのうえで、うちの環境に合わせた仕様も提案していただきました。ビールは基本的に冷やして発酵させるものですが、 岩沼の冬は気温が低いので、放っておくと発酵中に適正温度より下がってしまいます。 そこで、冷やすだけでなく温めもできる温冷両対応のチラーを入れることになりました。

うちの現場にも、まだ民家を工事している段階から足を運んでいただいて、搬入や設置の条件を見ていただきました。 納入の際にも立ち会っていただいて、開業までずっと伴走していただいた感覚があります。
設置場所まで一台ずつ運び入れる様子
▲納入当日の搬入。設置場所まで一台ずつ運び入れる
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海外製との比較と、決め手

Q 海外製は検討されなかったのですか?
金額がどれくらいか、一応は見ましたよ。正直、海外製は安いです。

ただ、私は英語ができないので(笑)。「ここをこうしたい」と細かくお伝えしても通じないだろうなと思ったんです。
間に商社が入るにしても、ですね。

それに、先にやっている先輩たちが海外製を入れていて、まだ使ってもいないうちから溶接が割れていたり、穴が開いて漏れたりしている話も聞いていました。「ステンレスの溶接できる人、知らない?」というメールが回ってきたことも(笑)。
修理となると、技術者の方が飛行機で来て、渡航費とホテル代で2~3日分。ちょっと直すだけで数十万かかります。それを考えたら、本当に安いのかどうか分からないですよね。
設備について話し合う様子
▲納入後も足を運び、設備について一緒に話し合う
Q 最終的にMONOVATEに決めた、一番の決め手を教えてください。
ひとつは、私がやりたい造り方に応えていただけたことです。直火で少量から仕込みたかったのですが、 こういったものを日本で作っているところは、探してもそんなに見当たらなかったんです。MONOVATEさんは、そこにきちんと対応してくださいました。

もうひとつは、埼玉にあるMONOVATE八潮工場まで伺って、製造工程や検査工程を見させていただいたことです。 実際に作っているところを一通り見させていただき、「これなら間違いないな」と思えたことが、大きな安心材料になりました。

使い始めてからの評価

Q 国内のメーカーと組んでよかったと感じるのは、どんなときですか?
「ここをこうしたい」という細かい話まで、一緒に考えていただけることですね。

いざ自分の造り方で回してみますと、細かい調整は出てくるものです。うちの場合は、糖化のときにロイター板(麦汁を濾すための底板)が目詰まりすることがありました。 麦芽を粗挽きのものに変えて落ち着きましたが、板そのものについても今日あらためて相談させていただきました。

海外製だと、完成されたものが届いて終わりなのだろうと思います。買う前から使い始めた後まで、ずっと相談しながら進められます。そこが国内のメーカーさんと組む一番の違いだと感じますね。
アフターフォローでの調整対応
▲気になる箇所は、その場で手を入れていく

【営業担当より】

正直なところ、価格だけを並べてしまうと海外製にはかないません。それでも見ていただきたいのは、買ったあとの話です。

今回はまず、同じ設備をお使いの醸造所さんへご一緒し、実際に動いているところをご覧いただいたうえで仕様を決めていきました。 そのあとも、工事中の現場に伺って搬入や設置の条件を確認し、納入にも立ち会わせていただいています。 先日はあらためてアフターフォローでお邪魔し、気になる箇所に手を入れてきたところです。

こうしたやり取りを重ねられるのも、一式でまとめてお任せいただいたからだと思います。 接続まわりの仕様が最初から揃っていますので、何かあったときの切り分けも早くできます。

設備は納めて終わりではありませんので、これからも近くでお手伝いさせていただければと思います。

【編集後記】

醸造室を案内していただきながら、クラフトビール業界の内側の話までたくさん伺いました。表には出てこない実情を聞いてはじめて、なぜ国内メーカーを選んでくださったのかが腑に落ちました。
買っていただいて終わりではなく、開業という一大事に最後まで並んで歩けること。それが価格では測れない価値なのだと、あらためて感じています。お忙しい中ご協力いただき、心より感謝申し上げます。