技術コラム

ステンレス容器を長持ちさせる洗浄方法とは?
2017/08/01 09:00

ステンレス容器を長持ちさせる洗浄方法とは?

ステンレス容器は、その耐久性や扱いやすさから多くの現場で使用されている金属容器です。

ステンレス容器の使用後に必ず行うのが容器の洗浄です。

しかし誤った洗浄方法や掃除の仕方によっては、傷やサビの原因になることがあります。特に製薬・食品・化学分野など、衛生管理が求められる現場では適切な洗浄・メンテナンスが不可欠です。

このコラムでは、ステンレス容器をより長く、安心して使い続けるための正しい洗浄方法や注意点についてご紹介します。

ステンレス容器の洗浄方法とは

ステンレス容器の洗浄手段としては、手洗い洗浄機の2つに分けられます。

手洗い

手洗いとは、シンクや洗浄スペースにて水・洗剤・スポンジ等を使って人の手で1つずつ洗う洗浄方法です。

洗う容器の数が少ない場合や、あまり大きくないサイズの容器に適しています。

ステンレスタンクを手洗い(手動洗浄)しているイメージ

洗浄機

洗浄機とは、洗浄する物(被洗浄物)を機械に入れ、洗浄剤や高温の水等を使って汚れを落とす洗浄方法です。

手洗いでは負担の大きい大型容器や、洗う容器の数が多い場合の洗浄に適しています。

ステンレス容器の自動洗浄には、高圧洗浄機や超音波洗浄機が使用されています。超音波では、手洗いで落としきれない油分や汚れを落とすことができます。

ステンレス製部品を洗浄機に入れているイメージ

ステンレス容器の洗浄のポイントとは

ステンレス容器の洗浄のポイントとしては、洗剤・スポンジ・すすぎ・ふき取り(乾燥)の4つが挙げられます。ここではそれぞれのポイントについて説明します。

洗剤

ステンレス容器の洗浄には、中性洗剤を使用します。

スポンジ

ステンレス容器の表面に傷を付けないように、柔らかいスポンジで洗います。

ステンレス容器を金属製や樹脂製の硬いたわし等で擦ると、傷や錆びの原因になります。

金属容器をスポンジで洗うイメージ

すすぎ

きれいな水でステンレス容器に付着した洗剤や汚れを流し落とします。

すすぎのコツ

最後のすすぎにお湯を使うと、水が乾きやすくなり乾燥時間が短縮できます。

ふき取り・乾燥

ステンレス容器の表面に傷を付けないよう、柔らかいウエスで拭き取ります。

錆び防止のため、水滴が残らないようにウエスでよく拭き、十分に乾燥させてください。

ステンレス容器を拭き上げるウエスの例

ふき取り・乾燥のコツ

水気を取るウエスと、仕上げ拭きのウエスの2枚を使うと乾きが速くなります。
隙間部分にエアーガン(ダスターガン/ブローガン)等でエアーを吹き付け、溜まった水を出すと速く乾燥できます。
水気を取った後にアルコール(エタノール)を付けたウエスで拭くと、残った汚れも拭き取れます。

ステンレス容器洗浄後のよくあるトラブル

ここでは、ステンレス容器の洗浄後に起こりやすいトラブル事例と、その原因・対策について解説します。

錆びが発生した

ステンレス容器に水分や汚れが残っていたり、濡れたままで放置すると錆びの原因になります。また、濡れたままで金属の上に置いてしまうと、もらい錆びの原因になります。

容器は汚れが残らないように十分に洗い、水分が残らないようによく乾燥させてください。詳しくは、条件によってはすぐ錆びる!?ステンレス容器が錆びる原因と対策をご覧ください。

水滴の跡や拭き跡が残る

水に含まれていた不純物が、水分の蒸発によりステンレス容器の表面に残って跡になることがあります。

最後のすすぎに純水を使用するか、もしくは純水を含ませたきれいなウエスで拭き取ってください。

コンタミが心配な場合の対策

製造工程や研究環境において、異物混入(コンタミネーション/コンタミ)のリスクは製品の品質や安全性に大きく関わります。特に高い衛生管理が求められる医薬品や半導体などの業界では、洗浄性や表面処理など、容器の選定や仕様が重要なポイントとなります。

ここでは、MONOVATEがご提案できる異物混入対策についてご紹介します。

電解研磨

MONOVATE製品の完成後の洗浄は、一般的な汚れを落とすことを目的としています。

コンタミ等の問題が心配されるユーザーさまには、納入前の初期洗浄と使用後の洗浄時間を短縮させる方法として電解研磨による洗浄をご提案しています。詳しくは、製薬業界の実績多数 最高グレードの電解研磨とはをご覧ください。

ステンレスの電解研磨

汚れが溜まりにくい・洗いやすい容器を使用する

MONOVATEでは、汚れや洗浄液が溜まらない構造(サニタリー仕様)のステンレス容器をご提案できます。

容器縁巻き部や部品の取り付け部分にある隙間をなくした、洗浄の簡素化がはかれる容器を使用することで、コンタミ対策や洗浄時間の削減になります。詳しくは、洗浄時間が短縮できる隙間の無いステンレス容器とは?をご覧ください。

カールシール

気軽にお問い合わせください

ステンレス容器・撹拌装置の洗浄方法や、使用環境に合った材質・表面処理のご相談がございましたら、気軽にお問い合わせください。

MONOVATEでは「洗いやすい構造にしたい」「滅菌できるようにしたい」といったご要望はもちろん、GMPやHACCPなどの衛生基準に沿った設計にも対応可能です。1品からのオーダーメイドで、お客さまの使用条件に最適な仕様をご提案いたします。

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